100PROJECT

100PROJECT

国内の地域産材のショールーム「WOOD MEETS」~木と出会う場所~

アジア太平洋トレードセンター/IHPC(ATC輸入住宅促進センター)

WOOD MEETS(ウッドミーツ) ~木と出会う場所~

大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟9階(約200㎡)
TEL:06-6615-5432 入館無料
営業時間:10:00~17:30(受付終了17時) 休館日:水曜日、年末年始など
ihpc@atc-co.com
https://www.atc-ihpc.com

プロジェクトの概要

WOOD MEETS(ウッドミーツ)は、輸入建材・部材・設備機器の総合展示場を運営する「IHPC(ATC輸入住宅促進センター)」の開設25周年記念事業の一環としてオープンした「国内の地域産材のショールーム」です。

戦後国策として進められた全国的な杉やヒノキの人工植林が、木材価格の低迷や森林所有者の高齢化により間伐等の手入れがされずに、放置・荒廃が進んでいます。そうして放置された山林は、土砂の流出や倒木が進み、水資源の貯蔵、水質浄化、洪水の緩和といった森林が持つ機能が低下しつつあります。これらの課題を解決するために、国産木材の利用促進、木材活用の新たな可能性を発掘する場所として誕生しました。

日本有数の木材産地の林業関連団体や林業関係者の製品・サービスを集め、地産地消の建築建材の提案や、国内外の計画的な森林経営がなされた建築材料を提案しています。IHPC(ATC輸入住宅促進センター)とその出展企業約100社を専門のアドバイザーがネットワークを駆使し、木材の新しい製品・サービス・利用価値の創出を進めていきます。
また、ショールームを活用したセミナーやフォーラム、商談会を定期的に実施し、木材活用のPRを行っています。

WOOD MEETS外観

生産者視点のモノづくりから脱却! 化学反応が生まれる場所に

ーーオープンから数ヶ月経ちましたが、どのような動きがあるのでしょうか。

黒川氏 おかげさまで、木製品の開発・活用を希望する企業様とのマッチングが活発になっていきています。2020年8月にオープンしてから現在で、大きな案件だけでも7〜8件ほど動いています。

具体的な例でいうと、神戸の大手通信販売会社の新社屋建設での島根県産部材採用や、文房具の製造・仕入れ・販売を手がけるナカバヤシ株式会社との間で島根県産部材仕様の業務提携が実現したりなど、この場所をきっかけにさまざまな化学反応が起きています。

こうした動きを受けて、私たち木材に関わる人間が想定していなかったところにこそ、木材利用の新たな可能性があるなと感じています。
いわゆる潜在需要を掘り起こすマーケティング手法というのは以前からありますが、木材の業界においては生産者視点のモノづくりから脱却できていないのが現状です。
ですので、このように「常設」というカタチで、常に消費者との接点が持てる場所があると、私たちの発信から消費者側がなんらかのインスピレーションを感じて、私たちが考えもしなかった展開に発展すると期待しています。
大手通信販売会社やナカバヤシさんがまさにいい例です。

IHPC(ATC輸入住宅促進センター)アドバイザーの黒川氏 /MOKUHINKYO(木造住宅品質確保普及促進協議会)理事長

このままいけば、日本の人口は確実に減っていきます。それに伴って、住宅の着工件数も確実に減少します。木材というカテゴリだけで見れば、市場は減っていく一方です。しかし、消費者の潜在需要を受けて発生するモノづくりの仕組みができれば、市場はどんどん広がっていくでしょう。
そのためには、各地方で活動されている木材関係の方たちが束になり、ひとつの共通ステージで情報発信を続けていくことが非常に大切だと思っています。その発信をする媒体として「WOOD MEETS」があります。
ここに来れば、生産者が思いもしなかった発想が生まれる。新しいビジネスが生まれる。そういった、なんらかの化学反応が起きる場所にしていきたいと思っています。

ーー「常設」にこだわったのは、なぜですか?

黒川氏 WOOD MEETSに出展されている企業・団体様は、ここに出展される前から他施設のイベントに参加されたり、デザイナーと一緒に自社製品をブランディングされたりなど、プロモーション活動を積極的に行っておられるところが多いです。けれども、そうした活動はどれも打ち上げ花火的にしか機能せず、本当に伝えたいメッセージが届きにくいという課題がありました。
加えて、農林水産省が認定しているJASに準じた各地域の木材認証制度というものがあるのですが、それらを発信する場所がまったくないのです。だからほぼ誰も知らない。これは非常にもったいないことですよね。

また、私がIHPC(ATC輸入住宅促進センター)アドバイザーとして、来館されたお客様と木材活用の話になっても、具体的に進めるとなると肝心の製品(木材)をお見せする場所がどこにもなくて困っていました。

こうした課題から、消費者との接点を持って、絶えず同じテーマの情報を発信し続けられる場所が欲しいという発想に至り、常設というカタチをとりました。

私たちはここを西日本一の木材の常設展示場にしたいと思って活動しています。
現在、多くの西日本生産者の方々は、関西の市場を飛び越えて東京などの関東圏へプロモーションに行っておられるので、2025年の大阪・関西万博開催を契機として、関西圏を中心にゆくゆくは日本全国の市場を対象にしたプラットフォームになりたいと思っています。

島根の木
【参加企業・団体 】 ・飯石森林組合 ・出雲木材市場 ・ウッドヒル隠岐 ・株式会社 佐々木馬一商店 ・須山木材 株式会社 ・有限会社 石東林業商会 ・竹下木材 有限会社 ・迩摩林業 株式会社 ・有限会社 野口木材 ・有限会社 日高林産 ・有限会社 平和木工 ・株式会社 吉崎工務店


奈良の木
【参加企業・団体一覧 】 ・株式会社 ホーテック  ・森庄銘木産業 株式会社 ・あかり工房吉野  ・維鶴木工  ・木工森


奈良県地域認証材


和歌山の木
和歌山県森林組合連合会、田辺市中辺路木材加工場、G.WORKS(ジーワークス)、木の工房樫、有限会社チェーンソーアートジャパン、Re-barrack(有限会社榎本家具店)、株式会社かつら木材商店 京北プレカット株式会社、有限会社白樫木材、株式会社山長商店、社会福祉法人 太陽福祉会 太陽作業所、株式会社丸紀、日本システム家具株式会社、西嶋木工、川口建設株式会社


福岡の木
株式会社ウエキ産業

ーーどういった事を発信されているのでしょうか?

黒川氏 WOOD MEETSでは、学校教育でも取り上げてこなかった木材のポテンシャルである「品質」と「省CO2」を軸にして、消費者に正しく・詳しく伝えることをテーマにしています。この2つを発信し続けることは、消費者の木材に対するマイナスイメージを払拭することにつながりますし、ひいては木材に関係する者の共通テーマとも言えます。

そうしたことを踏まえ、常設展示とは言え私たちが主体でやるのではなく、取り組みに共感いただいた企業・団体様と一緒に産業全体の課題を解決していくという主旨で活動しています。
2020年3月現在、島根県・奈良県・和歌山県の林業関連団体と福岡県の林業関係者が出展してくださっていますが、いずれも取り組みへの参加を働きかける際には、「一緒にやりませんか?」という形で、お誘いをしています。それが木材の利用促進に加えて、産業全体の底上げにつながると期待しています。

ーーどのようなイベントを実施していますか?

黒川氏 一般の消費者向けのイベントや、木材の生産者向けのセミナーなど、幅広い対象に向けて行っております。
木材というと、どうしてもマイナスイメージが強い傾向にあるので一般向けには、まずは木材に対する正しい認識が持てるような企画をするように心がけています。

生産者向けには、様々な切り口の企画に取り組んでいます。
先日は、デザイナーを講師に迎えたセミナーを企画しました。
デザイナーといっても単に成果物を軸にして話をするのではなく、地方の企業と消費地とのコミュニケーションから新しい商品や商流を創り出すヒントにつながるようなセミナーです。各地の生産者が同じ方向を向いてモノづくりに取り組めれば、産業の未来が変わってきます。こうした切り口の情報を定期的に続けていくことに、大きな意味があると考えています。

参考リンク:島根県木材協会 主催・IHPC運営協力 「~しまねの木ブランディング~展示・オンラインセミナー」
https://www.atc-ihpc.com/eventseminar/20210311/5839/

木材を利用する行為そのものが、SDGsへの貢献につながる

ーー木材とSDGsの関連性について教えてください。

黒川氏 木材を利用することは、CO2の貯蔵、排出抑制を通じて、地球温暖化防止に貢献します。
例えば、WOOD MEETSに設置している各県のブースには1トンのCO2が固定されています。全部で6ブースあるので、合計6トンのCO2が固定されている状態です。1トンのCO2は、20リッターの車で大阪から青森県庁までの距離を4往復した時に排出される量とほぼ同等です。

参考:CO2排出量調査/民間企業の活動による二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」実証事業

山林から伐採された木材で住宅を建てたり、家具を作ったりして大切に使い続けると、木材の中に固定された炭素を長時間固定することになるので、大気中のCO2の濃度が上昇するのを抑えるのに役立ちます。また、リサイクルを繰り返して、最後に燃料として活用する際にも、新たなCO2が発生することもありません。
つまり木材は、利用する行為そのものが、SDGsへの貢献につながるのです。
実際に、林野庁が出している日本におけるSDGsと森林・林業・木材産業との関係性を整理した資料を見ると、SDGsの17項目すべてを網羅しています。
今後、SDGsへの取り組みを考えておられる企業・団体様には、ぜひ知っておいていただきたい知識です。

参考リンク:持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo/attach/pdf/zenbun-12.pdf

それらも踏まえて、大阪万博に向けて何かプロジェクトを起こせないかと大阪府木材協同組合連合会と一緒に模索しているところです。万博のパビリオンを木造で建築したりなど、関わり方は色々あるなと思っています。

まずはこの場所にきて「木」に触れてほしい。

ーー最後にメッセージをお願いします

黒川氏 法隆寺の木造建築が1300年を超えた今でも存在しているように、万葉集のあちこちで「梅」や「橘」などの樹木が登場するように、日本人は古来より木材に対しての強い意識があります。もちろん時代によってターゲットにしている木材は変わってきましたが、その意識はDNAの中に深く刻まれています。

ここは、そんな日本古来よりある木材の魅力を五感で感じられる場所です。
各地方から集まってきた木材の匂いや魅力に直接触れていただき、ぜひインスピレーションを感じてほしい。
なかなか言葉で説明しても伝わりにくいので、まずはここ「WOOD MEETS」にお越しいただくことが、このプロジェクトの第一歩だと思っています。
ATCビルITM棟9Fでお待ちしております!

WOOD MEETS(ウッドミーツ) ~木と出会う場所~

大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟9階(約200㎡)
TEL:06-6615-5432 入館無料
営業時間:10:00~17:30(受付終了17時) 休館日:水曜日、年末年始など
ihpc@atc-co.com
https://www.atc-ihpc.com

一覧ページに戻る