100PROJECT

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オールインワン型IoT降雨計で、ゲリラ豪雨による社会課題に貢献する

TSTジャパン株式会社

TSTジャパン株式会社

〒541-0054 大阪市中央区南本町2-1-1 THE DECK
TEL: 06-4306-5646
https://reddotdrone.com(日本法人)
https://reddotdrone.com(スペイン本社)

プロジェクトの概要

温暖化によるゲリラ豪雨など異常気象の定常化、高齢化社会による人材不足が社会課題となっています。TSTジャパン株式会社では、オールインワン型超音波センサー「Nivelwatcher(ニベルウォッチャー)」の市場拡大を目指し、受水器(パイプ)にたまった雨水の量から降水量を超音波センサーで計測し、ゲリラ豪雨の被害を減らすための実証実験を行っています。これにより社会的データを蓄積し、災害対策や高齢化社会等へ貢献します。

IoTを活用し、生活の質の向上を実現する

今回は、TSTジャパン株式会社の代表取締役である古田 兼三氏にお話を伺いました。

ーー御社事業について教えてください。

古田氏 まず、当社の紹介から。当社は15年前にスペインで設立されたTST Sistemasの日本法人です。TST Sistemas は、IoTデバイスに特化した企業で、あらゆるプロセスを自動化し制御・監視するためのセンサーを主として開発・販売しています。TST Sistemasが日本でのさらなるIoT普及とIoTを活用したより生活の質の向上を実現するため、当社、日本法人「TSTジャパン株式会社」を設立しました。

IoT降雨計を開発し、ゲリラ豪雨による社会課題に貢献する

ーープロジェクトについて教えてください。

古田氏 プロジェクトでは、スペインと日本の共同開発により様々な用途で活用が見込めるオールインワン型超音波センサー「Nivelwatcher(ニベルウォッチャー)」を使った市場開拓を進めています。
現在、一番力を入れているのが「縦型オールインワン型IoT降雨計でのゲリラ豪雨の遠隔監視」です。毎年各地でゲリラ豪雨が発生しており、社会活動に様々な影響を与えています。
ゲリラ豪雨の被害を減らすために、降雨による河川水位上昇、道路冠水を遠隔する装置などのシステムは普及してきています。一方で降雨自体は、「転倒式マス降雨計」が業界標準であり、長期間遠隔監視ができる安価な計測がない状況です。気象庁アメダス観測地点には、数百万円はかかる降雨計が設置されています。この降雨計は高額なため、温湿度計のように多く設置することが予算的に不可能です。一方で気象庁の型式認定を受けていない安価な転倒マス式降雨計は、海外品を中心に多くの商品が市場投入されていますが、特に精度面での品質に課題があります。

当社が開発したIoT降雨計は、そうした課題を網羅できます。
まず計測間隔ですが、一般の降雨計は約10分間隔に対し、本製品は約2分間隔です。そして、少ない降雨量でも計測可能です。ハード面でも、電源不要、電池のみで1年以上は稼働を目指しております自動排水機能付きで異常時はユニットを交換するので、日常メンテナンスフリーです。その他、他製品と比べてかなり安価で設置できます。

面観測による蓄積データを活用し、社会的データとしての価値を創る

ーー実証実験ではどのようなことを行ったのでしょうか。

古田氏 IoT・ロボットビジネス実証実験支援プログラム「AIDOR(アイドル)エクスペリメンテーション」と実証事業推進チーム大阪(構成団体:大阪府、大阪市、大阪商工会議所)の取り組みとして、「縦型オールインワン型IoT降雨計での集中豪雨の遠隔監視」の実証実験を行っていただきました。場所は、ATCさんをお借りしました。実施期間は令和5年9月22日から令和6年3月15日まででした。目的は、降雨計の機能検証及び複数箇所設置による集中豪雨などの予測精度の検証を目的に実施しました。

今後チャレンジしたいのは、定点観測ではなく面観測です。一箇所のデータではなく、複数箇所のデータを観ることで、どのデータがどのように移動しているのか計測ししたいと考えています。こうした複数のデータを分析することで、気象予報、貯水管理、植樹の最適な方法などが分かり、社会的なデータとして十分活用できると思っています。

今回の実証実験を通じて、計測に対する精度向上の課題や、携帯基地局電波などのさまざまな電波調整、設置台数が多いことによるクラウド上での欠損データ調整など、かなり色々なことが見えてきたので、まもなく次のステージに行けそうです。

2025年はゼロイチから「展開」のステージへ

ーー本プロジェクトは今後、どのように成長していくのでしょうか。

古田氏 2023年は、当社が開発した降雨計が正確に測定できるかの確認をしました。オール大阪実証実験プロジェクトで、大阪市内20ヶ所と能勢・八尾・堺のアメダス観測地点近くでの実証実験を行いました。2024年は、大阪地域で100台規模の実運用実験(実証事業)を実施したいと考えています。できれば広島か九州(どこか一地域)での大阪と同等希望の実運用実験も実施したいです。これによってメッシュ状配置降雨計の有効性を立証したいです。そして、2025年には協業企業主体で全国展開を目指しています。私たちスタートアップはゼロイチを集中的にやって、その後は展開が得意な企業に営業、生産、設置、運用管理などをお任せして一緒にやっていきたいと考えています。

また、本製品で活用しているIoT技術は、多領域への展開が可能です。
例えば、温度、湿度、人の数、人の流れ、匂いなど、応用範囲は広いです。降雨計のビジネスの次は「積雪」に着目して技術を活用していきたいと考えています。雪の状態を硬い、柔らかいなどの状態が観測できるので、全国各地の雪で困っている人たちの役に立つ製品を作っていきたいです。

ーー最後にメッセージをお願いします。

古田氏 日本の高齢化が進む中、現在高齢者が担っているインフラ業務を次世代は誰がどのようにやるのか考えなければならない時がやってきます。人口が減っていく中で、従来のやり方では限界がきます。さらに、環境問題もますます深刻化していくでしょう。そんな時に、人がやらなくて良い作業はIoT技術を使って解決していくという社会を実現したいです。それによってインフラの在り方が変わり、社会や生活がより豊かになっていくことが当社の願いでもあります。
インフラや社会を変えていくことは、個社にはできないことです。もし本プロジェクトに興味がある企業がいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。お待ちしています!

TSTジャパン株式会社

〒541-0054 大阪市中央区南本町2-1-1 THE DECK
TEL: 06-4306-5646
https://reddotdrone.com(日本法人)
https://reddotdrone.com(スペイン本社)

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