100PROJECT

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楽しみながら運動が出来るゲームの可能性

TANOTECH株式会社

TANOTECH株式会社

大阪市淀川区西宮原1-8-41-708
https://tanotech.jp/

プロジェクトの概要

2024年10月22日から12月20日の期間で、アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟11階のATCエイジレスセンターにて、高齢者向け無料運動プログラムスペース『TANOステーション』の実証実験がTANOTECH株式会社によって実施されています。今回は実施者である同社代表取締役の三田村勉氏に、本プロジェクトの概要や目的について詳しくお聞きしました。※実証終了後の現在もご利用可能です。

自然に運動ができるゲーミフィケーション

ーーまずサービスの基本ツール『TANO』について教えてください。

まず、私自身がエンジニアで、直近では電車シミュレーターを開発して、全国の電鉄会社さんとお取引をさせてもらっていました。エンジニアになる過程で「たくさん勉強したんでしょ?」とよく言われるのですが、そんなことは全然なくて、小学生の頃から自作のプログラミングを雑誌に投稿していたら、自然と覚えた感じです。高校時代は“金八先生”に憧れて、中学生向けの塾ゲームを開発したのですが、自分が楽しみながら作っていたら、いろいろなことが学べていました。

この感覚を電車シミュレーターの開発時にも活かして、ただクリックするだけだった研修教材に、ゲーム要素を加えて運転士の目線で電車を動かすシミュレーターを開発したことが非常に好評で、ゲームには楽しみながら訓練でも出来るゲーミフィケーションの可能性があると感じたんです。


TANOTECH株式会社 代表取締役 三田村 勉 氏

そんな仕事をしていた40歳の時に、家族が要介護者となったことで、実家のある神奈川県平塚市に戻り、起業することになりました。その時に初めて介護業界でのリハビリや運動訓練の実態を知ったことで、何か役に立てればと思い開発したのが、ゲーミフィケーション型のトレーニングツール『TANO』です。

『TANO』は非接触・非装着型のモーショントレーニングツールで、コントローラー等を持たずにセンサー(モニター)の前に立つだけで体の動きや音声に反応して直感的に楽しめるゲームでもあります。子どもからシニアまで老若男女を問わず、楽しんでいたらいつの間にか体を動かしていたという感じでリハビリや運動訓練として活用してもらえるのが特徴です。ゲームコンテンツは誰でも楽しめるシンプルなものが多く、疑似散歩体験、脳トレ、発声など、現在250種類以上で、コンテンツによっては数値などの結果が測定できるものを用意しています。

ーー現在『TANO』はどのような場所で利用されていますか?

日本国内では関西、関東など200ヶ所以上でご利用いただいています。設置場所は主に高齢者向け施設、病院、放課後デイサービスなどになります。また海外では香港、韓国、中国などを中心に300ヶ所以上でご利用いただいています。特に香港では政府からの助成もあり、多くの施設で利用してもらっている実績があります。

無人対応型のコミュニティスペースを創出

ーーATCエイジレスセンターで実証実験中の『TANOステーション』は、どのようなものですか?

『TANOステーション』は、利用者が自分にあった健康運動プログラムを気軽に楽しむことができる、無人のコミュニティスペースです。

ATCエイジレスセンターに設置しているものであれば、受付用1台、運動用3台、レポート用1台の計5台のTANOが通信連携して、『TANOステーション』を構成しています。利用者の流れとしては、最初に受付用TANOで、“姿勢をよくしたい”や“肩こりを解消したい”などの内容からやりたい運動やなりたい自分を選択します。その情報を元にTANOが最適な運動プログラムを選択し、利用者を運動用TANOへと誘導します。利用者が運動を終えるとレポート用TANOからスコアや測定の結果が出力される仕組みです。
『TANOステーション』のポイントは受付用TANOを設置することで、誰が次にどのTANOでプレイするのかを制御できることです。これによってアテンドするスタッフが不要で人件費が削減でき、どのような場所でも無人で設置することが可能となっています。

ーー実証実験では、どのような成果がありましたか?

2024年10月22日から12月20日までの予定で実験を開始しまして、累計で500回以上の方にご来場いただき、活用していただいております。また現在、実証終了後もご利用いただけるよう『TANOステーション』の設置を継続しています。
あと弊社側の希望としては、シニア向けの施設や企業さんはもちろんですが、国や自治体の方などにもっと見学いただいて『TANOステーション』の仕組みをご理解いただき、今後の普及につなげていければと思っています。

福祉やテクノロジーを知るレガシーとして

ーー大阪・関西万博に向けては、どのようなアクションを起こしていますか?

大阪・関西万博に対しては、かなり前から意識していて、そのために神奈川だけでなく大阪にも拠点を設けました。個人的にも万博をきっかけにソフトウェア的なレガシーを次世代へ残したいと考えていまして、万博で出展することよりも、万博を契機にこの仕組みを作り出したという実績を残せないかと思っています。

その流れでお話すると『TANOステーション』プロジェクトの発端は、大阪府が万博に向けて推進していた『10歳若返りプロジェクト』に採択されたことでした。その翌年には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)での採択を受けて、国家プロジェクトにもなっています。その時に打ち出した3つの目標が「利用者が自ら参加したくなる」「さまざまな疾患・背景のある人でも遊べる」「準備・進行をロボットが補助する」というもので、まさに現在の『TANOステーション』の形そのものです。
そこで今回のATCエイジレスセンターでの実証実験にもつながるのですが、大阪・関西万博の会場に程近い咲洲エリアにて、実績を作ることも兼ねて実施したという経緯になっています。

※TANOTECH株式会社は
 【JETRO】医療機器・ヘルスケアのパビリオンに2025年6月21日~29日、【大阪府】「10歳若返り」プロジェクトに2025年7月28日・29日出展いたします。

ーー『TANO』と『TANOステーション』の今後について

『TANO』のゲームコンテンツに対する要望は、たくさん寄せられています。私自身がいくつか制作した段階で感じたのは「コンテンツは私ではなくて、学生が作るべきもの」だということです。ゲーム内容はシンプルなので高校生であればすぐに作れますし、小学生でも少し教えれば作れます。そのような子どもたちがゲーム作りを通して楽しみながらテクノロジーを学び、福祉を学んでいく環境を、私たち大人が作られなければいけないと感じています。このような課題解決型のゲーム作りを子どもたちに取り組んでもらうツールとしても『TANO』を活用していきたいですね。

『TANOステーション』というコミュニティスペースの枠組みで考えれば、将来的には弊社のTANOだけでなく、他の企業様の機器と連携することをイメージしています。スペースの中に、TANOもあれば、他の健康運動機器もあり、包括的に健康をサポートする場所に出来ればと思っています。

近い将来としては、今回の実証実験にもいくつか自治体関係者の方が視察に来られているので、さらに国内各地での導入を促進したいと思っています。その一方で海外からも引き合いがありまして、ある国の病院関係者からTANOを見て「こんなツールを探していた!」と連絡をもらって進行している案件もあります。採択されれば国家プロジェクトとして動くものになるのですが、このように海外へのアプローチも視野に入れて活動していきたいと考えております。

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