100PROJECT

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時を越えて届いた父親の声から生まれた、音声メッセージサービス

Musuhi

Musuhi

大阪府門真市城垣町2-18

プロジェクトの概要

Musuhi(代表:中村 敏康氏)が2024年1月13日(土)・14日(日)の2日間にわたって、ATC ITM棟で実施したのが、音声メッセージサービス『Musuhi』による音声メッセージギフトの実証実験です。今回はMusuhiの代表を務める中村 敏康氏に、本プロジェクト誕生のきっかけや目的などについて、詳しくお聞きしました。

大切な人の未来へ届ける、音声メッセージギフト

ーー音声メッセージサービス『Musuhi』とは、どのようなものですか?

中村氏 音声メッセージサービス『Musuhi』は、声で気持ちを残して、聞く手紙として想いを届ける音声メッセージギフトサービスです。利用者はスマホアプリをインストールした上で、声のアルバムに自分の音声データを残していきます。そのアルバムの中から届けたいメッセージを誰かに送ることができますし、送る日付も設定できるので、5年後、10年後、さらに未来の自分や子どもたちにメッセージを送ることも可能です。

機能としては、メッセージを特定の誰かまたはグループなどに送る「ダイレクトメッセージギフト」のほか、寄せ書きの音声版となる「グループメッセージギフト」なども実装する予定です。

本アプリの特徴は、大切なメッセージだけを残していくのでデータが埋もれにくいこと。音声録音なので、いつでもその瞬間に収録ができること。その上で、自分の声で残すので気持ちや感情が伝わりやすいことだと思っています。
また、利用者が収録した音声データはNFT技術を使って、半永久的に残していく予定です。

Musuhi(代表:中村 敏康氏)

カセットテープに吹き込まれた、父親の気持ち

ーーどのような「きっかけ」で、このサービスを始めたのですか?

中村氏 サービス開発のきっかけは、私の父との想い出です。父は、今から約20年前に脳卒中で亡くなりました。亡くなって9年後、私が30代後半の時に引っ越しで家の整理をしていると、父の遺品でカセットテープを見つけました。書かれたタイトルは『敏康成長記』。再生すると5歳くらいの私が遊ぶ声に重ねるように、日付や場所、私の様子などについて話す、父の声が聞こえてきました。さらに私の“敏康”という名前の由来についても語っていました。それを聞いた私は、死んでなお、父が私を応援して見守ってくれているような気持ちになりました。私の知る生前の父は、多くを語らない典型的な昭和の男です。私の場合はたまたまこのような形で父の想いを伝え聞くことができて幸運でした。しかし、世の中には、このように伝えきれていない気持ちが、たくさんあるのではないかと思ったんです。

私の仮説ですが、「想い出を残せば残すほど、人生は豊かになって幸せを感じる」と思っています。想い出を残すことが、人生のウェルビーイングを高めることにつながると考えています。

また現代では子育て世代を中心に、家族や友人とのつながりやメンタルヘルスケアの観点で課題を抱えているのではないでしょうか。例えば、記録ということであれば、今はスマホで簡単に動画が撮影できます。しかし、簡単に撮れるが故に多くのものに埋没したり、本当に大事なモノを探すのが難しかったりします。人との関係も複雑になり、なかなか声に出して気持ちを言えない、言いにくいことも多いでしょう。さらに忙しく生活する中で、その時、その瞬間の感情は、なんとなく覚えていても、しっかりとカタチに残せていないことも多くあります。そうした課題の解決にも、このサービスが役立つと考えました。

ーー今回の実証実験は、どのような形で実施されたのですか?

中村氏 2024年1月13日(土)・14日(日)の2日間、大阪南港のATC ITM棟で実施しました。一般ユーザーに利用してもらうのは、今回が初めての取り組みでしたで、ブース前を行き交う人々にお声がけをさせてもらい、テスト版アプリの内容からインストール方法まで説明した上で、体験してもらいました。当日は、ATC内で子ども向けのイベントが開催されていたこともあり、私たちのターゲットとしているファミリー層を中心に、多くの人が来場されていました。その中で17組の方々に体験していただきましたが、約92%が12歳未満のお子さんがいるご家庭でした。

体験していただいた方からは、好意的な意見を多くいただきました。中でも“未来について”のアンケートを取らせてもらいましたが、『遠い未来に送りたい!』という要望が多かったですね。5年後、10年後の未来へ向けて、“日常の些細なことを思い出すために”や“成人する子どもに向けてのメッセージ”などを送りたいという意見がありました。

また利用価格については、1メッセージ90円やサブスク利用などを想定しており、それらの価格についてもアンケートを行ったところ『妥当な価格』という声だけでなく、『NFT技術で半永久的に残してくれるのであればプライスレスなのでもっと高額でも利用する』という意見もいただけました。

ーー実証実験で見つかった課題は何だったのでしょう?

中村氏 5やはり“音声メッセージを残す価値”について、理解を得られていない部分はありました。私が考えるに音声にはたくさんの情報が詰まっています。例えば『ありがとう』でもテキストで書いてしまえば、それまでですが、声に出すことで、気持ちのこもった『ありがとう』もあれば、形式だけの『ありがとう』など、本当にたくさんの『ありがとう』があることがわかります。

現在、私たちも利用者にヒアリングを続けていますが、本当に感謝を伝えたい時はSNSやメールなどのテキストではなく、「会ったり電話したりして、直接自分の声で伝えたい」という結果が多く見られています。それだけに、音声メッセージを残して何かを伝えるカルチャーみたいなものを作っていく必要があると感じました。

大阪・関西万博にも出展予定。未来へつなぐメッセージ

ーーなぜ、今このようなサービスが必要だと思ったのですか?

中村氏 1つは、コロナによって人間関係が希薄になり、孤独や不安を感じる人が世の中に増えたという社会情勢がありました。それに加えて、今現在アメリカでは“エモーショナルウェルネス”という自分の感情の健康に気遣うことが注目されています。日本においても、そのような考え方が近い将来には取り上げられることを予想して、動き始めました。

そして、私のマイルストーンにもなっている大阪・関西万博の存在です。この万博には“命をつなぐ”というテーマもありますので、このサービスはとても親和性が高いと感じています。万博本番に向けてアプローチも進めていまして、現在は「TEAM EXPO 2025」プログラム会場の共創チャレンジにて出展予定です。それに加えて、世界の課題を解決する良質なプロジェクトを選定して展示・発信される「ベストプラクティス」のプログラムにも応募予定なので、こちらで採択されることも目指していますね。

ーー最後に、今後の活動についての構想を教えてください。

中村氏 現在は、テストアプリのβ版にて実証実験を行っていまして、2024年春から夏に掛けて正式リリースを目指して動いています。そして2025年の大阪・関西万博を足掛かりにして、ユーザー数を増やしていきながら、2023年前後には海外進出することが理想です。また、今年中には法人化も予定しています。

これらの実現には人的リソースの確保が課題です。エンジニアとしてプロフェッショナルな人たちがサポートしてくれていますが、今フルコミッションで稼働しているのは私だけになります。そうした現状を踏まえて、私と同じように経営者目線で動いてくれるCTOのような存在を探しています。私の人脈を通じてリクルーティングを行っていますが、良い人がいれば、ぜひ一緒にできればと思います。

最後になりましたが、私としては、このアプリを通じてメッセージをギフトとして送り合うハピネスドリブン(誰もが幸せを感じられる)社会を創ることが大きな目標です。気持ちが動いた瞬間と想い出を蓄積することで、エモーショナルウェルネスでウェルビーイングな社会にすることをミッションに、これからも活動を続けていきます。

Musuhi

大阪府門真市城垣町2-18

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