100PROJECT

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~風を見える化し、空の安全を守る〜世界No.1の風況インフラへ〜

メトロウェザー株式会社

メトロウェザー株式会社

京都府宇治市広野町茶屋裏18-1 タニヤマ大久保ビル 1F
https://www.metroweather.jp
https://www.metroweather.jp/news/3826/

プロジェクトの概要

メトロウェザー株式会社は、ドローンや空飛ぶクルマが安全・安心に運航・離発着するための必須情報である突風や乱気流をリアルタイムに可視化する3次元風計測装置(ドップラー・ライダー)のネットワークを世界に先駆けて大阪ベイアリアおよび都市部で進めています。いかなる場所・状況でも風を観測・分析し、最適なソリューションを提供し続け「世界No.1の風況インフラ」を目指して活動しています。

小型化・軽量化に成功した「ドップラー・ライダー」で、エアモビリティー社会の実現を目指す。

今回は、メトロウェザー株式会社の代表取締役である古本淳一氏にお話を伺いました。

ーープロジェクトについて教えてください。

古本氏 当社メトロウェザーは、ドローンが活躍する「エアモビリティー社会」の実現を目指して「空のインフラ整備」を担う京都発のスタートアップです。
「風」は人の目に見えないので気づきにくいのですが、とてつもないエネルギーを持っています。それこそ台風などの災害の際には車を吹き飛ばしてしまうほどの強力なエネルギーを秘めているんです。当社が開発した小型ドップラー・ライダー「Wind Guardian」は、そうした風の力をリアルタイムに観測することができます。そして風の動きを「実測」するだけでなく「予測」することで、ドローンをはじめとするエアモビリティの安全なインフラ構築の実現を目指しています。

メトロウェザー株式会社 代表取締役 CEO 古本淳一氏

ーードップラー・ライダー「Wind Guardian」について詳しく教えてください。

古本氏 私たちが居る空間には、空気中には非常に小さい塵が1ミクロン単位で浮いています。いわゆるダストと呼ばれるものですね。ドップラー・ライダー「Wind Guardian」は、これら塵に赤外線レーザーを当て、空気中の塵の動きによって僅かに変化する周波数(ドップラー効果)を瞬時に解析し風速や風向をリアルタイムに算出するプロダクトです。

https://www.kansai.meti.go.jp/3-3shinki/metroweather.pdf

ドップラー・ライダー自体は 20年ほど前にアメリカで発明されたものですが、当社はそれをベースに開発を重ね、小型化・軽量化に成功しました。従来のドップラー・ライダーの大きさは鉄道会社のコンテナ1つ分ほどありますが、当社は車1台分にも満たないほど小型で軽量です。価格は従来の10分の1ほどですが、最大15km先まで風の動きを計測することができます。

当社は2015年に設立して、プロダクトが出来上がったのが2020年です。性能に妥協したくないという思いから、世に出しても良いと思えるものを開発するのに実に5年もかかりました。ただ、おかげさまで、小型、軽量、高スペックという三拍子が揃い、現在では複数のお客様へ導入されています。

ドップラー・ライダー「Wind Guardian」

風力発電運用効率アップから不審ドローンの検知まで、空のインフラ整備を担う。

ーー具体的に、どのような用途で使われているのでしょうか。

古本氏 マーケットは大きく2つあります。
一つ目は、環境計測などの既存マーケットです。実は風力発電の運用効率は2〜3割程度なんです。理由は色々とありますが、その大きな原因のひとつが風の動きが正しく読めていないことにあります。それを、当社プロダクトで瞬時に正しく風の動きを捉えることができれば、止めるべきところは止める、動かすべきところは動かすということが実現でき、運用効率が上がるのではないかと期待されています。
また空港などにおいて、離発着時の地上付近の風向急変(ウインドシア)に対する風況計測として使われています。航空機の後方乱気流観測による安全・高効率の運航への活用も期待されています。

新規マーケットとなる二つ目は、アンチドローン、障害物検知・識別における事業展開です。
ドローンを含む移動物体、自動運転の際の前方障害物の検知に活用できます。従来はレーダーによる検知が一般的ですが、レーダーは地上スレスレのエリアが苦手です。山や木やビルなどのデータを感知してなかなか正確な情報が取れない。そこを狙って不審なドローンがレーダー網の下を潜って飛んでいるということが多発しています。
一方、ドップラー・ライダーは地上スレスレがとても得意です。こうした背景から、不審ドローンの検出活用という文脈でも研究を進めています。

新規マーケットでは、もうひとつ「ドローンUTM」に取り組んでいます。
ドローン前提社会における法規制対応はもちろん、自立運行に必須の3D風況情報をリアルタイムで提供する技術を研究しています。
今回のATCさんで実施している実証実験もこの一環になります。

2025年大阪関西万博での空飛ぶクルマの飛行に向けて、安全性のファクターになる。

ーーATCで実施している実証実験について、詳しく教えてください。

古本氏 2025年の大阪関西万博の空飛ぶクルマ飛行時に、弊社プロダクトを活用いただくことを目指しています。飛行機と違って、いわゆる電池で動いている空飛ぶクルマは、風や突風の影響をハードに受けます。安全・安心に運航・離発着するためには、風の状況をリアルタイムに正しく読んで、ルート計画を立てることがとても重要です。また、当日いきなり風の状況を読むよりは、その土地の風のデータを予め蓄積・分析した上で飛行計画を立てるということも大切です。

ATCは万博会場の夢洲が一望できる位置にありますので、ここに3次元風計測装置(ドップラー・ライダー)を設置し、試験観測をすることでデータの蓄積・分析ができ、2025年の飛行に向けて最良の飛行計画プランが立てられると考えています。風の動きは、天候はもちろん、季節によっても大きく変わりますので、できれば万博までのできるだけ長い期間、設置しつづけていただけると有難いです。

ATC屋上に設置された3次元風計測装置(ドップラー・ライダー)
電力はコンセント1つで十分なので、設置しやすい。
写真右:奥に見えるのが万博会場の夢洲



ATCにて実施されたメディア内覧会の様子

ーー本プロジェクトは今後どのように発展していくのでしょうか?

古本氏 現在は、大阪ベイアリアおよび都市部での設置を進めています。万博を見据えながらも「世界で初めて風の状況がわかる街・大阪」というコンセプトで、大阪モデルを作ることを目指しています。

今後は様々な事業者との連携も大切になってくるフェーズだと感じていますので、本記事を読んで興味を持った方は、ぜひお問い合わせください。
本日はありがとうございました。

メトロウェザー株式会社

https://www.metroweather.jp
https://www.metroweather.jp/news/3826/

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