国際交流と防災学習を通じて、世界の防災ネットワークを構築する「グローバル防災サミット」
グローバルユース防災サミット実行委員会(事務局 ママコミュ!ドットコム)
グローバルユース防災サミット実行委員会
(事務局 ママコミュ!ドットコム)
u15bosai@mamacomu.com
https://mamacomu.com
グローバルユース防災サミット2022
https://mamacomu.com/bosaisummit
プロジェクトの概要
「つながろう世界と まもろう未来を」をスローガンに掲げ、次世代の担い手である10代、20代のユースが2025年の大阪関西万博に向かって、国際交流と防災学習を融合させた独自の取り組みを通じて、災害に強い社会の実現をめざします。
災害大国日本で生きる者として、社会の多様な担い手と共にローカルとグローバルの両視点において防災に関心を持ち、アクションに変える活動を続けています。
「万博で会おう!」を合言葉に、世界各国で防災に取り組む青少年との交流を深め、国を越えて共に学び合えるグローバルなパートナーシップの構築を目指しています。
子供自身が災害に直面した時に、生き抜ける力を。
今回は、グローバル防災サミットの実行委員長である出水眞由美氏にお話を伺いました。
ーープロジェクトが生まれたきっかけについて教えてください。
出水氏 防災の活動を始めたのは、2011年東日本大震災のニュースで、子供の死者数を目の当たりにしたことがきっかけでした。当時の私は子育て真っ只中だったこともあり、そのニュースを見たときに、子供の死者数の背景にある親御さんの思い、子供と関わっていた方々の気持ち、子供自身の未来など、様々なことが思い浮かび、何とも言えない気持ちになりました。
1997年に阪神大震災も経験していましたが、「怖かったな。」という記憶は残っていても、そこから生活が変化した記憶はありません。時間が経ち、恐怖も風化してしまったように思います。もちろん地域や学校などの防災教育で、火事が起こったらハンカチで口を覆うこと。地震が行ったら頭を守って机の下に隠れること。といった“対策(の一つ)”は教えてくれます。でも本当にそうした対策を教えるだけで、子供自身が災害に直面した時に自分の命を守れるのか、いったことが疑問に感じてきました。同時に、このままでは東日本大地震を経験した人でも、私と同じように災害への学びを深めないまま成長してしまうのではないかと思いました。
そこで、もっと子供たち自身が防災について真剣に考え、感じる経験を踏み、子供たちが自分の力で生き抜いていける力を身につける防災教育をしていくため、この取り組みをスタートさせました。
本取り組みでは、「世界中のユースによる防災ネットワークの構築」、「地域と世界の両視点での防災リテラシーの向上」、「災害に強い社会の実現のための具体的な解決策の提示と実行」を目標に活動しています。
日本国内で防災に取り組む個人、団体、海外で活動する防災団体が参画しています。
国際交流×防災学習が、文化理解を深め、防災ネットワークを構築していく
ーー「グローバル防災」とは具体的にどのようなことですか?
出水氏 防災を国際的視点で見たときに、当然ですがそれぞれの国ごとの防災対策があります。
例えば、日本人は5メートルの津波がきたら、6メートル以上の防潮堤を建てて対策することが、一般的な考え方であり、最も効果的な対策の一つだと考えられています。さらに8メートルの津波がきたら、それを超える高さの防潮堤を作って対策します。
一方でドイツ・ハンブルク市では、毎年高潮が発生して街が浸水してしまうのに、海水を堰き止めるような高さのある防潮堤は建設されません。代わりに、川と街のつながりを遮断しない防潮堤を設計するのです。その防潮堤は一見するとただの階段になっていて、普段は人々が座ったり、カフェテラスでお茶をする人もいて、完全に街の景観に溶け込んでいます。ですが、浸水の可能性がある期間だけ人が居らず、大切なものはすべて撤去し、時期が過ぎ去るのを待つそうです。
同じような災害でも、国によってこんなにも対策が異なるんです。
【関連リンク】
川と街に開いた“壁”のない防潮堤
エルベプロムナード(ドイツ・ハンブルク市)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00013/021700024/
この防潮堤の話は、ドイツ「ハンブルク市青少年消防団」との防災学習でユースが共有した内容です。(ドイツ側はオンライン参加)
サミットの成果発表会である「次世代BOSAIフォーラム」では、世界共通語「BOSAI」をテーマに、両国・両都市の防災の現状や課題の分析や調査結果を共有し、相互理解を深め、課題解決の方法を探りました。
このように「国際交流」と「防災学習」を融合させることで、互いの国の文化やアイデンティティ等、様々なことが理解しあえるのです。加えて、防災リテラシーの向上はもちろん、サミットの諸活動を通じ、社会と積極的に関わるきっかけにもつながります。
また、サミットのユースには小学校低学年から大学院生、社会人まで、様々な年代の子供たちが在籍しています。防災に興味のある子もいれば、国際交流に興味のある子もいます。サミットへの“入口”は一つに定めていません。
★こちらはサミットでの活動です。
「次世代BOSAIフォーラム」での小学生組の発表は、どうしたらハンブルクの子供たちとオンライン上で楽しく交流できるのかを考えた結果、ドイツ発祥のお菓子であるグミを題材交流することが決まりました。自分達が美味しいと思う日本企業のグミを事前にハンブルク現地へ送り、イベント当日「日本のグミもこんなに美味しいんだよ。」と伝えながら一緒に食べるといった交流をしていました。
中学生組は、世界でも有名な「世界津波の日」制定のきっかけとなった先人の偉業を、1本の映画にまとめて発表していました。
このように、子供たちは自分達ができること、やりたいことを考え、他国とどのように交流できるのかを熟考し、それぞれの視点、視野の中に「防災」を位置づけ、活動に参画しています。こうした探求の要素がある活動は、子供たちの学びを深め、防災意識を育んでいくと考えています。
ですので、大人たちは防災を教えるのではなく、子供たちが自由に探求できる場所やネットワークを構築していくことが役割だと考えています。また、子供たちのアウトプットの場や、その広報活動をすることに重きをおいています。
ーードイツ・ハンブルク市と大阪には、どのような繋がりがあるのでしょうか。
出水氏 ドイツ・ハンブルク市と大阪は、姉妹都市です。2022年には34年を迎えます。
ただ、私たちの取り組みは単なる姉妹都市との交流ではなく、それらをさらにアップデートさせ「防災姉妹都市」としてより深い活動にしていきたいと考えています。
またドイツ・ハンブルク市に限らず、防災姉妹都市という切り口から世界中のユースによる防災ネットワークの構築を目指しています。
2025年に「万博で会おう」が合言葉
ーー今年のグローバル防災サミットは、いつ、どのように行われるのでしょうか。
出水氏 2022年は、日本、ドイツ、トルコの3カ国で開催予定です(10 月 29 日(土))。オンラインとリアルのハイブリッド型で実施します。
リアル会場は、ATCおおさかグリーンエコプラザを予定しています。ATCを舞台に選んだ理由は、本会場から海と万博会場が見えることです。目の前の海がドイツ・ハンブルクにもトルコにもつながっている、そう感じます。
大阪・関西万博は、このグローバル防災サミットの第一の目標です。
2025年に向かって、今後も世界各国の防災に取り組む若い世代との交流を深め、「万博で会おう」を合言葉に、国を越えて共に学び合えるグローバルなパートナーシップの構築をめざしています。
2023年2月には成果発表会「次世代BOSAIフォーラム」を開催し、広く成果を内外に発信する予定でもあります。
ーー最後にメッセージをお願いします。
出水氏 学校でのESD(SDGs教育)や探求学習の推進を受けて、社会課題に関心を持つユースが増えています。その中で、防災に関心があり、実際に何かしらの活動に取り組んでいる、取り組みたいと思っている若者は決して珍しくありません。
しかし、防災リテラシーが災害時にしか役に立たないという教える側にありがちな固定観念が、防災教育の可能性を大きく阻害しているように思います。私たちは防災を狭い世界に押し込めず、日本、世界の人々との共感、共助を導くパワーワードとして、防災で世界に貢献する国境を超えたネットワークを築いていきたいと思います。
つながろう世界と まもろう未来を。
私たちが掲げるスローガンには次世代を見つめるユースたちの熱い思いがこもっています。
さあ、私たちと一緒に2025年の大阪を変えましょう!
(ユースだけでなく大人世代の共感、協働を猛烈に欲しています!)