小規模・低コストで半永久に暗闇を照らす光
有限会社ライトプラン
有限会社ライトプラン
〒440-0851 愛知県豊橋市前田南町2丁目8−24
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/keizaisenryaku/0000631816.html
プロジェクトの概要
2024年9月13日から11月30日(予定)の期間で、有限会社ライトプランによる「夜間点灯した自分の光で発電・給電するソーラー光循環街灯」の実証実験が、アジア太平洋トレードセンター(ATC)内で実施されています。今回は実施者である有限会社ライトプランの取締役 入江政孝氏に、本プロジェクトの概要や目的について詳しくお聞きしました。
自ら発した光を再利用する循環システムの構築
ーーまず、有限会社ライトプランの事業内容を教えてください
入江氏 1996年に設立した有限会社ライトプランは愛知県豊橋市に本社を置き、照明器具の開発・販売・企画を行っている会社です。主に提携している長野県の照明器具メーカーの省エネルギータイプの照明器具の開発・販売を中心に取り扱っております。取引先のメインとなっているのは、中部圏の大型商業施設や工場などです。
私自身は、元々金融業界でサラリーマンをしていたのですが、1980年代後半に地球温暖化の記事を見たことがきっかけで、社会貢献できる機会を求めて、この省エネルギー分野の事業に取り組むことになり、有限会社ライトプランを起業しました。
ーー今回、実証実験を行っている製品について詳しく教えてください。
入江氏 今回実施しているのは「夜間点灯した自分の光で発電・給電するソーラー光循環街灯」の実証実験です。この製品に取り組むことになったきっかけは、取引先である株式会社久米電機(愛知県)が太陽光発電を使った街路灯を開発されていまして、非常に面白い技術だと感じて、弊社が参画させていただきました。
設備の構成は、LEDライト、太陽光発電パネル、バッテリー、チャージコントローラー、そしてポール本体の5点が基本構成となります。一般的なソーラー街路灯は太陽光発電パネルが上部に設置されますが、私たちの製品ではLEDライトが上となり、その下に太陽光発電パネルが設置される形です。この構成にすることで、日中は太陽光発電パネルによって蓄電され、夜間は発光するLEDライトの光を受けて発電・給電する光循環システムを実現しています。この光循環システムによって、理論上は半永久的に点灯し続けるソーラー街路灯となっています。
また、この製品の大きな特徴としては、小規模・低コストで実現できるところです。高価なバッテリーを使用する必要もありませんし、最低限のもので製品化を進めています。日本においては、万が一何か不具合等が発生した場合のことも考えてポール自体も弊社が用意していますが、インフラ設備が整っていない発展途上国などで展開する場合には、現地の柱や木などに取り付けることで、さらにコストを抑えることも可能です。
ーー今回の実証実験の概要および成果は、どのようなものですか?
入江氏 今回の実証実験では2024年9月13日(金)より、アジア太平洋トレードセンター(ATC)のそれぞれ日照量の異なる2箇所に設備を設置し、夜間長期点灯の状況やバッテリー容量の違いによる蓄電残量の検証などを行っています。
日中に直射日光があたるATCの屋上部分には照度重視の「2号機」を設置し、建物の階段横で太陽光が直接当たらない場所には効率重視の「1号機」を設置しました。
現在(取材時は実験開始から10日後)、屋上に設置した「2号機」は問題なく点灯し続けている状態です。一方の太陽光の当たらない「1号機」については、おそらく1週間程度で不点灯となりました。1号機の設置場所は直射日光がありませんが建物や道路などから受ける反射光で、日中は比較的明るい場所になります。それらの反射光を受けることで、点灯できるかと挑戦してみましたが、1週間程度で消えたと思われます。過去の実験で1~2時間でも日照時間がある場所では点灯していましたので、日照時間ゼロの場合でも期待していましたが、今のところは難しいようです。ただ、このようなトライアンドエラーも含めて実証実験ですので、期間内にパネルの枚数や角度などを調整して、再挑戦してみようと思います。
電気インフラの無い地域を照らす新しい光
ーー将来的に、この製品はどんな社会課題解決を目指していますか?
入江氏 2000年代に省電力のLEDが開発され、同時期に太陽光発電が日本でも国の後押しを受けて注目されるようになりました。それらを組み合わせて、屋外照明が世界的にも注目され開発されるようになります。日本国内でも大手から中小まで数百社が屋外照明の開発に参画しましたが、この時に初めて雨が降ったら点灯しなくなったという課題が出るようになり、世界的にも市場が縮小していったのが、この10~20年の流れです。
そんな中で当社の場合は、新しい技術を開発して、電気インフラが整備されていない国や地域などへ展開したいと考えています。日本をはじめ、先進国ではスマートシティという考えがされていますが、まだまだ電気インフラの無い山間部や地域が存在します。そういった場所に、この製品を通じて防犯や街づくりの視点でのアプローチを考えています。
その点で私たちの製品が有利なのは、インフラ設備が不要ということです。電柱を立てたり、電線を引いたりする必要もなく、完全独立型の製品なので満充電のバッテリーを付けて山の中に置くと、その夜には点灯して、そのまま点灯し続けるので、このような社会課題の解決には適した製品だと思います。
ーーその他、日本国内での利用シーンとしては、どのようなものが想定されますか?
入江氏 主に販売先としては、地方自治体などを想定しています。特に、災害時に人が集まる公園や避難所となるような場所には、停電時でも明かりが付いていることは大切だと考えていますので、ご検討いただきたいですね。その他には、大型商業施設の駐車場などには適していると思っています。そのような場所では街路灯の数も多いですし、省電力である私たちの製品は電力削減という面でも貢献できます。敷いてはCO2の削減、化石燃料の削減にもつながり、そうしたエコ的な考え方も、本プロジェクトをスタートしたきっかけの一つでもあります。
ーー今後の展望について教えてください。
入江氏 製品としては2021年頃におおよそ完成しており、この3年間で愛知や沖縄など各地で実証実験を行ってきました。今回の大阪での実証実験がほぼ最終的なデータ取りの局面です。ちなみに沖縄の実証実験では、風速55メートルの台風時でも倒壊することなく、夜間もLEDライトを点けていたという実績があります。
ATCでの実証実験が2024年11月末までとなっており、その後は製品の販売に本腰を入れていく形になります。すでに大阪商工会議所やJETROなどを通じて、東南アジア、中東、アフリカなどの国との交流会に参加しており、各国の行政や企業関係者と話を進めています。諸先輩方から「海外のほうが良い物と判断されると話が早い」とアドバイスをいただきましたので、まずは海外にウェイトをおいて話を進めていく予定です。その一方で、国内では自治体や開発事務所に向けてアプローチを続けていきますので、ご興味のあるご担当者の方がいらっしゃれば、ご連絡いただきたいですね。
有限会社ライトプラン
〒440-0851 愛知県豊橋市前田南町2丁目8−24
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/keizaisenryaku/0000631816.html
tekist