100PROJECT

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DIYを通じて、子どもの生きる力を育む「キッズDIYキャンプ」

和気産業株式会社

和気産業株式会社

和気産業株式会社

大阪府東大阪市南上小阪10-32
https://kids-diy.jp

プロジェクトの概要

東大阪にある日本唯一のDIY用品の専門商社(創業1922)である、和気産業株式会社。同社が展開する子ども向けワークショップ拠点「キッズDIYキャンプ」。
この場所は、子ども一人ひとりの興味や能力に合わせたDIY体験を通じて、子どもが自信を持ち、考える力がつけられるようなワークショップの開発・提供を行なっています。
子どもたちが個々の興味や能力に応じて様々な体験をし、自分の人生を描き歩んでいける社会を目指しています。

日本唯一のDIY専門商社が実施する、子ども向けワークショップ事業

今回は、和気産業株式会社のメディアプロモーション室の室長である鈴木氏とワークショップメニュー開発や講師を務める新井氏、西岡氏にお話を伺いました。

ーー御社の事業について教えてください。

鈴木氏 当社は、1922年に創業した日本唯一のDIY用品の専門商社です。
創業当時は、ほうろう鉄器や銅製品などを扱う家庭金物卸商金物の卸問屋でした。
1967年に開催されたモントリオール万国博覧会のイギリス館で、当時の専務が日曜大工コーナーの盛況を目の当たりにしたことをきっかけに、DIYの市場へ乗り出し、現在は専門商社として全国で事業展開を行なっています。

現在、卸売業(営業・物流)をベースに、商品開発、小売業(通販)、子ども向けワークショップなど、多角的に事業を展開しています。

鈴木氏(左)、西岡氏(右)

鈴木氏(左)、西岡氏(右)

新井氏

ーーATCで展開されているのは、子ども向けワークショップ事業ですね。
その点について、始めたきっかけなど教えてください。

鈴木氏 ATC3階にあるRoBO&Peaceという子ども向けのオープンテクノロジーセンター内に拠点を構え、主にワークショップ事業を行なっています。

始めたきっかけは、エンドユーザーとのつながり形成のためです。

私たち「卸業」は、バイヤーを通じてでしか、消費者の生の声がわかりません。良い商品を開発してもバイヤーの心に刺さらなければ、商品化もされません。本来、商品開発は消費者が喜ぶものを作らなければいけないのに、直接消費者の声を聞く場を持っていなかったのです。

この場所を創出する前も消費者の声を聞くために、ホームセンターの一角や地域で、ワークショップを行なっていました。しかし、継続性のない断片的な活動になっており、価値を生み出すところまではいっていませんでした。
やはり、もう少し事業発展させるには固定の場所が必要、と場所を模索していた時に、アイローボ正会員のキッズプロジェクト社から、RoBO&Peaceを紹介していただき、「キッズDIYキャンプ」が誕生しました。

ロゴ

キッズDIYキャンプのロゴに込めた想い

人をモチーフにしたDとYが、Iを工作している様をデザイン。
子どもとコミュニケーションをとりながら、ものづくりを行える場所を表現。
テーマカラーは赤が好奇心、青が工夫、黄が材料で、3つの要素が集っている場所という意味を持たせている。

鈴木氏 RoBO&Peaceは、テクノロジーに興味を持つ子どもが集まってくる場所なので、その子どもたちに、DIYやものづくりの楽しさを提供できますし、同じ出展企業同士の相乗効果も期待できるのではないかと思い、この場所に決めました。

結果、RoBO&Peaceが企画運営している子ども向けのイベントへ出展したり、勉強会を企画したりなど、当社だけでは実現できない取り組みができています。

ワークショップ

ワークショップを通じて、子どもの生きる力が育つ!?

ーーなぜ、「子ども」を対象にしたのでしょうか?

鈴木氏 DIYは、暮らしに必要なスキルであると考えています。
ただ、学校では時間を取って教えるのも難しく、工作なども既に準備されたキットが活用されています。

「キッズDIYキャンプ」という場所では、子ども一人ひとりの興味や能力に合わせたDIYが体験できることで、自信を持ち、考える力がつけられるようにしたいと思っています。

また、こうした活動を通じて、年齢、性別に関係なく、子どもたちが個々の興味や能力に応じて様々な体験をし、自分の人生を歩んでいける社会になるといいなと思っています。

DIYは「考えて工夫すること」が大切です。

例えば、水道の水が止まらなくなったとき。
すぐに業者に依頼をする方が多いですが、少し調べれば自分で解決できることもあります。また、YouTubeにある動画を見ても理解できない、苦手意識が強すぎて考える気力もない、という人がおられます。
子どもの時から考えて工夫する体験が多ければ、「人に聞く前に、自分で考える」といった思考が育ちます。考えて工夫する経験が多ければ、失敗も当たり前のことと捉え、まずは試してみる、挑戦してみるといった姿勢につながります。
それはDIYだけに留まらず、暮らしのあらゆるところで起きることだと思います。

ーー具体的にどのようなワークショップをされているのでしょうか?

新井氏 DIYや、それに電子工作要素を取り入れたワークショップをしています。
ハンマーを使って釘と糸で絵を描くストリングアートや、グルーガンを使用してスマホスタンドを作るワークショップなどがあります。

ワークショップ

対象は、小学校低学年から中学生くらいまで。
小学生以下の子でも保護者と一緒に取り組めるようなメニューを開発しています。

オンライン、オフラインの両方で、子供たちの参加幅を広げています。
オンライン配信は、新型コロナの影響を受けて取り組むようになりました。
最初はやり方がわからず試行錯誤していましたが、最近では、待ち時間に動画クイズをしたり、オンライン参加者に「会場参加者はここまで進んでいるよ〜!」と声かけして盛り上げたりなど、ハイブリッドの良さを活かした運用方法がわかってきました。
おかげさまで、両方でリピーターも増えてきています。

ワークショップ

西岡氏 夏休み期間には、夏休みの自由研究や工作づくりをしていただくメニューも開発しました。
全4回で構成されていて、1日目は参加者全員で、卓上スチロールカッター作り。2日目、3日目はそのカッターを使って、恐竜や昆虫、海の生き物などの標本を作る。4日目は仕上げと、発表を行なってもらいました。発表は、専用シートにこだわった点や、工夫したポイントを書き込んで、他参加者に発表するというものです。

単に作って終わりではなく、自分の考えを言語化し、皆に伝えることは、ものづくりにおいて非常に重要なポイントだと考えています。

また、2日目、3日目は、朝〜夕方までの決まった時間であればいつ来ていつ帰っても良し。会場の様子はリアルタイムでYouTube配信するから保護者も安心。という運用方法をとりました。もちろん、常にスタッフは会場にいます。
子どもは納得いくまで作品づくりに没頭でき、保護者からは買い物に行ったりなど時間を有効的に使える、と好評でした。

ーー拠点を構えたことで、どのような変化がありましたか?

鈴木氏 単発で実施していた頃に比べ、発展性がありますね。
一定の場所で実施していて、しかもリピーターもいるからこそ、「次はこうしてみよう。」「あれも試してみたい。」という発想が生まれてきます。
おかげさまで社外から、DIYの楽しい会社という認識をいただくようになりました。社内でも同業他社とは違うことをやっていると、誇りに思ってくれている人も増えました。ワークショップのメニュー開発に当っては、協力してくださる仕入先からの反応もよいです。

新たなプロジェクト創出も、この場所で。

ーー今後、プロジェクトが発展していくためのポイントは?

鈴木氏 独自性ですね。
他ではやっていないメニュー、コンテンツを提供していくことが大切と考えています。
あとは、子どもたちとの関係性の築き方でしょうか。特に、講師と子どもの心の距離をどのように縮めていくのか、はポイントになってくると思います。

また、キットなどの物販にも力を入れていきたいですね。
ここでやったことを家でも取り組んでもらって、DIYにもっと興味を持ってもらってまたこの場所に戻ってきてもらう。そんな広がりが持てたらと思います。

あとは、Robo&Peaceと一緒に、デジタルやオンラインの内容と掛け合わせたプロジェクトを開催していきたいですね。

プロジェクト創出まではいっていませんが、先日、Robo&Peace を運営しているアイローボさんと「3Dプリンタを使った勉強会」をやりました。
ちょうど3Dプリンタを使ったワークショップを開発がしたいと考えていて、アイローボさんに相談したら、勉強会をやりましょう。と言ってくださって。
この場所で活動しているからこそ実現できた取り組みです。これからもこういった連携をしていき、いつかプロジェクトが生まれるといいなと考えています。

ーー最後に。

鈴木氏 ずいぶん先の話ですが、今、ワークショップに参加してくれている子どもたちが、30年後に自分の子どもを連れてキッズDIYキャンプに来てくれること。これが大きな目標です。
ものづくりを通じて学んだり、楽しく取り組んだり、宝物としてずっと大事にしていたくなるものを作る。そんな場所にしていきたいです。

子ども向けの体験の場「キッズDIYキャンプ」にご興味を持っていただけたら、一度WEBサイトをご覧になってください!
https://kids-diy.jp
本日はありがとうございました。

和気産業株式会社

大阪府東大阪市南上小阪10-32
https://kids-diy.jp

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