iRooBO Open Technology Center ~プロジェクト創出×人材育成~
一般社団法人i-RooBO Network Forum
一般社団法人i-RooBO Network Forum
大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟3F D-1
https://iroobo.jp
プロジェクトの概要
「異分野の専門家による新結合プロジェクト創出」と「全世代・分野のシームレス人材育成」をコンセプトとした、最先端テクノロジー空間「アイローボオープンテクノロジーセンター(iRooBO Open Technology Center)」
子ども向けテクノロジー教育関連拠点「RoBO&Peace(ロボアンドピース)」、日本のものづくりを支える自動化支援と人材育成拠点「IATC」、スマートファクトリーに関する開発拠点「IATC-Lab.」、モビリティ関連拠点「ROBOLUTION」と連携しながら、ロボットビジネス企業コンソーシアムの多種多様なネットワークと高い技術力を活かし、テクノロジーを軸にプロジェクトや人材が融合する場を創造し、プロジェクト創出やテクノロジー人材の育成に取り組みます。
<関連WEBサイト>
アイローボオープンテクノロジーセンター
https://iroobo.jp/
RoBO&Peace
https://iroobo.jp/project/robopeace/
IATC
https://iroobo.jp/project/iatc/
IATC-Lab
https://iroobo.jp/project/iatc-lab/
最先端テクノロジーを軸に、プロジェクトや人材が融合する空間に
今回は、一般社団法人i-RooBO Network Forum会長である坂本氏にお話を伺いました。
ーーこの場所が開設された経緯を教えてください
坂本氏 私たちはロボットビジネスの企業コンソーシアムとして、多種多様なネットワークと高い技術力を活かし、テクノロジーを活用した社会課題の解決に寄与する様々な分野のプロジェクトを創出してきました。
その中で、ものづくり現場でのエンジニア不足、労働人材不足という社会課題を解決するために「IATC」という日本のものづくりを支える自動化支援と人材育成拠点を創り活動を続けてきました。加えて、子ども向けテクノロジー教育関連では、「RoBO&Peace(ロボアンドピース)」という拠点を創り、週末ワークショップや大型イベントを通じて、子どもがテクノロジーを見て、触れて、学べる機会を提供してきました。同時に企業様に向けてIT教育関連のマーケティングの場、実証実験の場も提供してきました。モビリティ関連では「ROBOLUTION」という拠点を創り、移動に関するソリューションを提供してきました。
そしてそれらのプロジェクトが発展・拡張し、スマートファクトリーに関する開発拠点として「IATC-Lab.」がオープンしたことをきっかけに、より大きな枠組みでプロジェクトを始動させようと2021年10月1日にアイローボオープンテクノロジーセンター(iRooBO Open Technology Center)を開設しました。
長年にわたり生産設備や研究開発の現場で使われるシステムを多く手がけ、機械、電気・電子といったハードウェアからソフトウェア、ネットワークまで非常に幅広い知識とシステムインテグレーションカを持ち、多くの納入実績がある。
ーーこの場所ではどういったことに取り組まれるのでしょうか?
坂本氏 アイローボオープンテクノロジーセンターで取り組むことは、大きく2つあります。
まず一つは、異分野の専門家により新結合される「プロジェクト創出」です。
「イノベーション(=新結合)」とは、異分野の専門家同士の知恵・技術を組み合わせて生みだしたものが、新たな価値を持った時に起こるものです。近年私たちの生活を豊かにしているサービスは、このイノベーションによって生み出されたものが多くあります。イノベーションを起こすには、遠いところにあるもの同士が結びつく環境が必要ですが、1企業だけではなかなか異分野と積極的に融合や連携をしていくことは難しい環境にあります。しかし、ロボットビジネスの企業コンソーシアムである私たちには、テクノロジーを起点にさまざまな分野の専門家が集まる仕組みがあります。これらを活用しながら、本センターを通じてその結びつきをより強化し、イノベーションを起こすきっかけを創りたいと考えています。
その取り組みの第一弾に、製造業のDX支援を目的に、ソフトバンク株式会社と協業で5GやIoTを活用した設備データの収集・連携の実証環境を大阪に構築した事例があります。これは、私たちが常々取り組んできた製造業の人手不足を解決するための自動化支援、人材育成のノウハウに、5GやIoTの技術を融合させ、製造業のDX支援に繋げるプロジェクトです。
参考)製造業のDXを支援する、5GやIoTを活用した設備データの収集・連携の実証環境を大阪に構築
~生産設備や協働ロボットを5Gと閉域網でクラウドに接続し、データの蓄積・可視化などを検証可能に~
今後も、このような異分野同士の持つ知恵や技術を組み合わせ、プロジェクト創出をしていきたいと考えています。
2つめは、全世代・分野のシームレス「人材育成」です。
「子どもの“好き・楽しい”を未来の夢に、仕事に」をコンセプトとし、職業観・興味関心の形成時期である小学生〜高校、大学生までの全世代を一気通貫で、テクノロジーを支える諸分野(プログラミング・デザインetc)をボーダーレスに横断しながら知識や技術を身につけ、活用できる場を提供することで、未来のテクノロジー人材を育成していく取り組みです。
また、異年齢・異学年での協働学習環境を提供することで、学習幅の拡大、質向上を狙います。
私たちのビジョンは、あらゆるテクノロジーが日常に溶け込み、ヒトとテクノロジーが互いに価値を生み出し続ける「共創社会」の実現にあります。そのため、この場所が最先端テクノロジーを軸にプロジェクトや人材が融合する空間に発展していくことが非常に重要であると考えています。
プロジェクト創出と人材育成を同時に行う場所や機会を提供することで、社会課題に対応した企画力や構想力を持ったテクノロジー人材が育つ土壌が創れますし、その人材がプロジェクト創出の一助となっていく可能性も充分にあります。また、異分野同士によるイノベーションを皮切りにプロジェクトが生まれ、それによって人材が活躍するきっかけづくりにつながるかもしれません。
こうした好循環をこの場所で創ることが、私たちが理想とする社会を実現するために必要なことであると考えています。
継続したテクノロジー教育こそが、学び手の興味関心を持続させる
ーー全世代・分野のシームレスな人材育成とは、具体的にどういったことなのでしょうか?
坂本氏 2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されたことを受け、全国各所でプログラミング教室やワークショップが開催され、小学生がテクノロジーに触れられる場所や機会は徐々に増えてきました。しかし成長に応じて対象年齢や分野ごとに学ぶ場所をユーザが選択しつづけなければ、テクノロジーを学び続けることはまだまだ難しい環境にあります。
同じカテゴリにおいて興味関心が継続する子はそのまま工学系に進学したり、テクノロジー関係の職についたりします。しかし、必ずしも興味関心がひとつのカテゴリに収まっているとは限りません。プログラミングはある程度理解したから、次は動画を撮って編集できるようになりたい!というニーズもあるかもしれないし、ずっとパソコン作業だとモチベーションが続かないけれど、この場所に来て本物のロボットアームや3Dプリンターを見たら「実際に動かしてみたい!使ってみたい!」といった好奇心を刺激し、学びを継続できるかもしれません。子ども向けのテクノロジー教材の多くは、おもちゃのようなものが多いですが、子どものうちから「本物」に触れることで、その迫力や本物が持っている良さを肌で感じ取り、興味の持続に繋がるのではないかと思います。
子どもの関心度や年齢に応じた学習環境を提供できれば、テクノロジーに触れ続けながら成長することができます。
また、現在AIなど急速な技術進展により社会変化が激しく様々な課題が生まれています。これらを文系・理系・芸術系などといった枠にとらわれず各教科等の学びを基盤としながら、様々な情報を活用・統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められています。
こうした能力を育成するには、テクノロジーに関連するあらゆる領域をボーダーレスに横断しながら、知識や技術を身につけることが重要です。
本センターでは今後、プログラミング、ロボット、アート、写真、3D、動画、VR、XRなど様々なテクノロジー分野を垣根なく学べ、それらに触れられる機会を提供し、未来のテクノロジー人材を育成していきたいと考えています。
テクノロジーは教えられる時代ではない。協働学習がもたらすシナジーとは?
ーー全世代型を対象とありますが、コア対象年齢はあるのでしょうか?
坂本氏 本センターでは、敢えてコア対象年齢を設けていません。未就学児から専門学校生、大学生に至るまで、テクノロジーに興味関心がある子どもの異年齢・異学年のコミュニティを形成し、自律学習に加えて協働学習を促していきたいと考えています。
協働学習は、学習幅を拡大し学びの質を向上させるといったプラス面が近年教育業界で注目されており、異年齢・異学年の違うスキルを持つ者同士が集まり同じ課題に取り組むことで、思わぬアイデアが生まれたり、互いの分野について学べたり、マインド刺激につながる等のシナジー効果を期待しています。
私たちSlerの仕事でも、得意分野が違う者同士で課題についてディスカッションをすると予期しなかった角度から解決の糸口が見つかるといった事例も多くありますので、こうした協働学習のシナジー効果は身を持って実感しています。
更に付け加えると、技術進化の速度が早すぎて、もはやテクノロジーは一辺倒で教えられる時代ではないと常々感じています。
私も芸術大学でアートサイエンスを教えていますが、今の若い世代の子達は日常的にデジタルツールを使いこなしています。それこそ何の抵抗もなく3D CADで描いたものを3Dプリンターで出力したり、レーザーカッターで切断・加工したりなどして、作品を創っています。
RoBO&Peaceの子ども向けイベントの際に、産学連携で大学生が体験型コンテンツを創っていましたが、そのクオリティの高さに教える側の私たちが驚いていたほどです。
もちろん、歴史、セオリー、仕事への向き合い方など時代が変わっても変わらないものもあるので、教えられることもあるのですが、テクニカルなことは教えるのではなく、一緒にやってみてその体験から自身が学んでいく、同じ体験をした者同士で学びあっていくというスタイルの方が、学びの深さや広さ奥行きが違います。そのため楽しい、面白い、もっとやってみたいといった知的好奇心を擽り、それが更なる自律学習、スキルアップへ繋がっていくのだと思います。
またこの場所は現役のSlerが仕事場としても活用しているので、子どもたちは職人が実際に仕事をしている姿を生で見ることができます。その姿を見ながら、スキルや能力値に応じて仕事を手伝ってもらう、というようなシーンが生まれるかもしれません。
自分の「好きや興味関心」を突き詰めた先に、このような働き方やテクノロジーとの関わり方があるのだということを体験してもらうことで、将来自分が進む道を考えるきっかけにしてほしいという狙いもあります。
また、現役Slerも若い世代の持つデジタル知識やアイデアを吸収し、更なる成長に繋げてほしいと思います。
テクノロジー技術の進歩と人材育成は、同時進行で
ーー最後にメッセージをお願いします。
坂本氏 日本の労働人口が確実に減っていく中で、日本の生産性を維持・向上させていくためには、間違いなくテクノロジーの力が必要になります。
そして、テクノロジーは技術進歩だけが先行するのではなく、その使い手も同時に育てていかなければなりません。
プロジェクト創出と人材育成を融合させることで、少しでも社会を前に進めていくことが私たちのミッションであり、願いでもあります。
この想いに共感いただいた企業様、団体様は積極的に関わっていけたらと考えています。
今日はありがとうございました。
一般社団法人i-RooBO Network Forum
大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟3F D-1
https://iroobo.jp