5G活用による工場内の4Kカメラ映像配信サービス事業化を目指す
株式会社フツパー
株式会社フツパー
〒532-0002 大阪府大阪市淀川区東三国4-25-29 フローラル・セントランド202・206号
https://hutzper.com/
プロジェクトの概要
株式会社フツパーは労働力不足へのソリューションを提供する会社として、中小企業が抱える課題に対しAIを用いて解決すべく、はやく、やすく、確かな技術のエッジAIを提供しています。
2021年度、既存事業を活用し、5G活用による工場内の4Kカメラ映像配信サービス事業の構築に向けたプロジェクトを開始しました。
本プロジェクトは、5Gを活用する新しい製品・サービスの開発を行う事業を支援する「5Gビジネス開発補助金」に採択されています。
導入へのハードルを下げたビジネスモデルで、製造業の人手不足に貢献
今回は、株式会社フツパーのCMO/事業戦略コンサルタントである萩原啓悟氏にお話を伺いました。
ーー御社の事業について教えてください。
萩原氏 弊社は関西製造業様を中心に「目視検査業務」の効率化を実現する画像認識エッジAIを提供しています。
製造業の熟練技術者の技は複雑で微細なものが多く、AIやIoTが代替しにくい領域です。一方で検品・検査に関わる工程は目視業務が基本となっており、画像認識ディープラーニングを用いて改善を重ねていくことができるため、AIの代替制が高いです。
ものづくりには必ず「検査工程」がありますので、このプロセスを人ではなく機械がやることでその効率化・自動化を図り、製造業の人手不足に貢献するためのサービスを展開しています。
ーーサービスの特長について教えてください。
基本的にAI導入のプロセスは、実証実験→モデル実装→本番運用という流れになるのですが、多くのAIプロジェクトが実証実験段階で止まってしまい、なかなか本丸のビジネス目的達成にまで到達できていない背景があります。これらの原因は実証実験にかかるコストによるものが大きいです。
それらを受けて弊社サービスでは、料金体系を初期費用無料かつ月額課金とし、導入へのハードルを下げています。加えて月額費用は、業界でも圧倒的な安さを誇り、ランニングコスト面でもお客様に喜んでいただいています。また、製品の中にAIを搭載しているため(エッジAI)、インターネットがない環境でもカメラと小型デバイスを現場に設置すれば導入が可能になります。
5G活用による工場内の高画質映像配信のサービスインを目指す
ーープロジェクトについて教えてください。
萩原氏 弊社のメイン事業で使用しているエッジAIを活用して、エッジAI、5G、高画質カメラ(4K)を組み合わせて、工場内に4Kカメラを設置し、高画質の映像をリアルタイムに遠隔地(管理棟)に配信するサービスの構築を目指しています。
4K映像のリアルタイム配信は、技術的に開発は進んでいるものの、商用利用の実績は現時点で非常に少ないです。その課題背景の一つとして、従来のものと比較して4K映像はデータ容量が非常に多く、従来の回線だと配信速度という観点で商用利用する上での要件を満たせませんでした。しかし、5Gビジネス開発補助金及びATCにある「5G X LAB OSAKA」の5G環境を活用することで、上記回線課題を解決することが可能だと考えました。また製造業向けの展開が期待できるとあり、既存事業との親和性も非常に高いことから事業化に向けて動き出しました。
ーーサービスインにおいて、今後キーポイントになることは?
萩原氏 本サービスにおけるユーザー課題の抽出とユースケースとターゲット選定です。
メインは、弊社の既存顧客である製造業向けを中心に展開していきたいと考えています。
具体的にどのようなユースケースを想定しているかというと、ひとつは工場内の「監視カメラ」です。
弊社が画像認識エッジAIを販売する中で、工場では作業員のミスや機器の故障によるトラブルが起きた際に、監視カメラの映像から原因を特定して検証するというオペレーションがあり、その業務の効率化、明確化へのニーズは高いことを確認しています。
従来のカメラの映像ですと細部までクリアに映らないことも多いので、情報を取得できる範囲が狭まってしまいますが、4K映像の画素数は現在主流のフルハイビジョンカメラの4倍にものぼります。高画質、広角を実現し、細かい機器トラブルや人の動きを確認できるため、故障、事故の原因究明、改善の効率化を図ることができると考えています。それにより、従来かかっていた本業務への対応時間を削減することが可能になると考えています。
その他には、「製造業のリモート業務」の実現があります。
新型コロナウイルスの影響で、社会的にリモート業務が推進されていますが、製造業とりわけ工場勤務では、そういった対応をすることが難しいと言われています。しかし本システムを活用すれば、遠隔であっても高画質かつリアルタイムで配信することが可能になります。例えば、従来は直接工場へ足を運ばないといけない工場視察や見学などが、現場スタッフがカメラをもって工場内を歩き、リアルタイム配信によって管理者が遠隔からその状況を閲覧・チェックできたり、コミュニケーションが取れたりするようになります。また、高画質映像を活用して工場内の人材研修などにも活用できます。
その他、AIを使って人や滞留時間などのカウントもできますので、特定のエリアに対し1日あたりの人の稼働数や人件費を換算し、計画値と実績値の差分をデータ化することもできます。その他、年齢、性別などの属性もデータとして取得できます。
これらを活用して、製造業向け以外に小売り向けにもサービスを展開できるのではないかと考えています。
例えば、店舗に4Kカメラを設置し、このエリアは夕方に年配女性が多いから商品陳列を変更する、人の導線をチェックして棚のレイアウトを変更する、といった使い方もできます。人の属性、動き、滞留時間をデータ化し、より売れる店舗を作り上げていくサポートツールとしても活用していただけます。
また、店舗内にサイネージを設置すればリアルタイムにリモートで接客ができたり、店員がカメラを持って店内を歩く映像をお客様がリアルタイムで見ながら、バーチャルショッピングが楽しめる、というような使い方もできます。
活用方法はいくつかありますので今後営業活動を行う中で、ユーザー課題を抽出し、より現場で使えるものにブラッシュアップを重ねていきます。
4K、5Gというテクノロジーを活用し、既存業務の効率化を図るとともに、従来の技術では実現し得なかった価値を提供し、関西をはじめ、国内の生産性、経済性の向上に寄与していきたいと考えています。
より現場で使えるサービスを「泥臭く」追求していく。
ーーさいごにメッセージをお願いします。
萩原氏 今回利用した5Gビジネス開発補助金制度では、製品開発を進めることがメインなので、まずはそこをしっかりやっていきます。それと同時に今後は、弊社の既存事業である製造業向けサービスとのシナジーを考えながら、事業計画を詰めていきたいと思います。
昨今DXが声高に叫ばれていますが、DXはあくまで手段であり、本来はAI/IoTといったテクノロジーを活用し、企業の課題を解決したり、効率化することに目的があります。私たちは弊社既存事業のAIや今回の5G事業がお客様の課題解決にどう貢献できるか、そこを泥臭く追求し、現場で本当に役立つサービスを開発・提供していきたいと考えています。
外観検査自動化、工場監視でお困りの皆様、ぜひフツパーにご相談ください!
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