世界で200万人以上の多発性硬化症の方々のために!
株式会社ハピネスコーポレーション

株式会社ハピネスコーポレーション
東京都港区六本木7丁目7−7 トライセブン六本木 8階
TEL:03-6629-3511
https://www.happiness-corp.co.jp/
プロジェクトの概要
今回の100プロジェクトでは、大阪・関西万博の場外展示として ATCエイジレスセンターで2025/8/21~9/5に実施した『リボーンチャレンジ・ショーケース』にご参加いただいた、株式会社ハピネスコーポレーションの代表取締役CEO 木元修二氏にお話を伺いました。万博でも展示した「携帯型の非接触おむつセンサー/Mi-Rack(ミラック)」のお話を中心にお聞きしています。
システム開発会社が「おむつセンサー」を開発するまで
ーーまず御社の事業内容と、これまでの歩みをご説明ください。
株式会社ハピネスコーポレーションは、システム開発やIoTソリューションを手掛けている企業です。主に官公庁や中小企業向けのシステムの開発・運用・保守を行っております。ひとつ事例を挙げますと、兵庫県のある自治体には農業用ポンプの故障などの利用状況を感知する遠隔監視システムを導入しておりまして、もう15年以上のお付き合いをさせていただいております。
そのような事業を行っている当社が医療・介護分野に進出するきっかけとなったのは、今から10年以上前のことです。技術者の知人に「バイタルセンサー」という心拍・呼吸を検知する機器を見せてもらいました。カバンからセンサーを出した知人が、ノートパソコンの画面を見せながら「これが木元さんの心拍波形ですよ」と説明くれたときは、強い衝撃を受けました。これを医療や介護の現場に応用できれば、人の命を守ることに役立つのではないか、と思いましたね。
コンサルティング会社の友人にも話したところ「売り方を間違えなければ、間違いなく売れる!」と太鼓判をもらって、私の心にも火がつきまして、そこから1年くらい掛けて管理画面などの制作を行いました。そして看護師や介護士の知人に見てもらったところ、病院には既に高精度な医療機器があるため不要と言われた一方で、介護施設の現場では「こんな技術があれば助かる!」という声をいただきました。
その後、東京や大阪の医療展示会などにも出展したことで、さまざまな方面から注目していただき、テレビなどのメディアにも多く取り上げてもらったのですが、商品の売上にはなかなかつなげることができませんでした。ただ、この時期においては心拍を検知する「バイタルセンサー」だけでなく、医療・介護分野向けの見守りシステムとして、さまざまなセンサーやカメラを使った商品の開発にも取り組んでいたんです。
その中に「非接触型おむつセンサー」がありました。これはおむつ着用者を対象にした商品で、厚さ0.35mmのセンサーを布団のシーツの下に敷くだけで、就寝時の排泄排尿を検知できるものです。この非接触型おむつセンサーも開発に時間も要しましたし、苦労もしました。技術的な難易度も高く、既存メーカーや制作会社には断られ続けたので、ほとんど自社オリジナルで制作しています。しかし、この非接触型おむつセンサーの開発が、今回大阪・関西万博に出展した「携帯型の非接触おむつセンサー/Mi-Rack(ミラック)」につながっていきました。
代表取締役CEO 木元修二氏
ーー『Mi-Rack(ミラック)』は、どのようなきっかけで生まれたプロダクトですか?
非接触型おむつセンサーを含めた、弊社の見守りシステムはその後も何度か展示会に出展させていただきました。特に非接触型おむつセンサーへの関心は高く、コロナ禍の出展の際にも関わらず、多くの来場者にお越しいただくこともありました。
そんな中、大阪産業創造館(サンソウカン)での展示会に20代の女性が来場されました。最初お会いした時は、展示の片付けも終えていた閉場時間ギリギリだったので、名刺をお渡しして「必要であれば説明に伺います」と話したところ、早速次の日にメールをいただきました。そのメールにはご自身が罹患されている『多発性硬化症』という病気についての話がありました。
多発性硬化症は、名前の通り、身体が硬くなっていく難病で、下半身麻痺になる場合もある病気です。日本では約2万人、世界では200万人以上、この病気に罹っている人がいます。お会いした方はちょうど1週間ほど前に告知をされて、その時は歩いていらっしゃいましたが、いつ歩けなくなって車椅子生活になるのか、わからないとのことでした。それで当社の「非接触型おむつセンサーは車椅子でも使用できるのですか?」ということをお聞きになりたかったそうです。
残念ながら、当時のおむつセンサーの仕組みでは車椅子の場合、移動時の振動などによって誤感知するので無理でした。しかし、ご来場いただいた、その女性の気持ちになったとき「これを作れるのは日本で私たちしか居ない」という想いになり、その日から開発担当者と実用できる原理を探しまくりました。そして、ついに実用化のための原理を発見できたのが2023年で、ちょうどその頃は大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで開催される「リボーンチャレンジ」の出展企業を募集しているタイミングでした。そこで私たちは世界で200万人以上もいる多発性硬化症に悩まされている方々の助けに、少しでもなれればと思い、製品化したのが「携帯型の非接触おむつセンサー/Mi-Rack(ミラック)」です。
ーー『Mi-Rack(ミラック)』の特徴は、どのようなところですか?
まずひとつは非接触型であることです。従来も肌に触れて感知するおむつセンサーはありましたが、やはり直接触れるので利用者も痛かったり、気になったりします。また排尿排泄をすると汚れてしまいますので、洗浄する必要もありました。その点、Mi-Rack(ミラック)は非接触タイプで、下着や衣服を着てもらって、車椅子に座ったお尻の下に敷いてもらうだけで感知できますので、不快感もなく、毎回洗浄するような手間もありません。
不快感という点では、開発当初のプロトタイプはセンサーを保護するために通常のプラスチックで整形していたのですが、知人に試してもらったところ「この上に座ったら痛いよね」と助言をいただきました。その言葉が悔しくて、悔しくて(笑)。それで出来る限り不快感を無くそうと思い、プラスチックにゴム製樹脂を混ぜ込んで、しなるくらい柔らかくして、薄さも半分にしました。おそらく日本でも最高の技術ではないですかね(笑)。その結果、大阪・関西万博では来場された80代の女性に「座っても全然違和感がないですね」という言葉をいただきましたね。
また特徴という意味では、なによりも排尿排泄を感知するためのセンシング技術は、当社ならではのものになります。他社では排泄排尿の臭いを感知する製品がありますが、臭いの場合、個人差があって正確に感知できない場合も多いそうです。その点、当社の場合、詳細にはご説明できませんが、排泄排尿時に起きる「温度」「湿度」の変化で判別しています。ただ、これも言葉で言うほど簡単ではなく、本当に微妙な変化なので、当社がこれまでに収集したデータや開発したプログラムによって判別できるものになっています。
ーー大阪・関西万博での展示では、どのような反響がありましたか?
万博の出展期間は4/29〜5/5のゴールデンウィークで、大盛況でした。人気の大阪ヘルスケアパビリオンなので、一般の方はもちろんですが、医療・介護関係者もたくさん来場されて、興味を持ってみてくれる人が多かったですね。若い看護学生さんたちがすごく真剣に話を聞いてくれたことや、女性医師の方が「勤めている病院で使ってみたい!」と話をしてくれたことが印象に残っています。
また海外の方にも興味を持っていただけたようです。スペインから来た三人組には私の拙い英語で製品説明したところ、通訳に何やらお話されていたので、訳してもらったら、「あなたは天才だ!」と言っていますとのことでした(笑)。そのように彼ら自身は必要としていなくても、このような製品が日本にあったことを帰国後に家族や知人に伝えてもらうことで、いろいろなつながりが生まれると思っていますし、当社としてもそれらをきっかけに日本だけでなく世界各地でMi-Rack(ミラック)のような製品があることを伝えていかなければいけないと感じています。
ーーATCエイジレスセンターとは、どのような関係性ですか?
ATCエイジレスセンターには2023年頃から、製品やカタログ・ポスターなどの常設展示をさせていただいています。きっかけは、私が各都道府県の医療・介護関係の施設を探していて見つけました。ちょうど、その頃は高齢者の見守りサービスに関するニーズが高まっていたので、私からATCエイジレスセンターさんへ「見守りサービスの展示会をやりませんか?」という提案をさせてもらったのが、始まりです。その展示会では1フロアを貸していただき、8社ほどの企業にご参加いただいて盛況でした。そこから今回の『リボーンチャレンジ・ショーケース』のような展示会でもお声がけいただく関係になっていますね。
ーー今後の活動に向けての想いを教えてください?
まずMi-Rack(ミラック)は2025年11月からECサイトで販売できるように準備中です。日本国内の医療・介護施設等に広めつつ、万博でも世界の方々に知っていただきましたので、英語版サイトも準備して海外展開も進めていきたいと思っています。また日本国内の展示会には引き続き、出展していきますので、ご興味のある方にはぜひご来場いただきたいと思います。
さらに今後は超高齢化社会が進んでいき、全国の介護従事者の数は間違いなく不足していく時代です。当社が開発した製品はすべて介護現場で働く方々のニーズを捉えて作ったものになります。そのような声に耳を傾けながら、来年度に向けて「お風呂での事故防止センサー」や「音声による見守りシステム」の開発も進めています。
私たちは今後も、「利用者の命と尊厳を守り、介護者の負担を軽減すること」を目的として、製品やサービスを開発していきたいと思っています。
株式会社ハピネスコーポレーション
東京都港区六本木7丁目7−7 トライセブン六本木 8階
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