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テクノロジーを活用し、歯科界にイノベーションを

株式会社Dental Prediction / Holoeyes株式会社

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株式会社Dental Prediction

東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル3F 
https://www.denpre.co.jp/

Holoeyes株式会社

東京都港区南青山2-17-3 モーリンビル303
https://holoeyes.jp

プロジェクトの概要

本プロジェクトは、医科界のアップデートを目的に、3D、VR/AR、5Gなど様々なテクノロジーを活用し、地域格差の是正や教育のレベルアップなど、医科界が抱える様々な問題を解決、改善する取り組みを行っています。
2021年7月には、5GでのXR歯科手術の遠隔支援の実証実験を行い、デジタルツインを実現するなど、各メディアで注目されています。

VR・5Gなど様々なテクノロジーを活用し、医科界をアップデートする

今回は、株式会社Dental Predictionの運営統括責任者名である代表取締役の宇野澤元春氏と、Holoeyes株式会社代表取締役の谷口直嗣氏にお話を伺いました。(オンライン取材)

ーーそれぞれの企業の事業ドメインについて教えてください。

宇野澤氏 株式会社Dental Prediction(以下DenPre)は、歯科のプラットフォーム構築に向けて、日本や世界で活躍する歯科医師達が集まる各科専門歯科医師集団です。5G・IoTの普及により、データ・情報を有効利用することで、歯科界が抱える様々な課題を解決及び改善していくことを目的に活動しています。
主な活動のひとつに、CT・口腔内スキャンデータより3Dデータを解析・構築し、3DモデルまたはVR/ARに変換するサービス「DenPre 3D Lab」を行っています。それらは、クリニックや病院が患者説明・診断・治療・教育・症例の共有などに活用できます。

谷口氏 Holoeyes株式会社(以下Holoeyes)は、「身体・病態・診療を空間で捉え、医療を進歩させる」を理念に、医用画像を空間的にアウトプットすることによって、その活用の幅を最大限に広げ、世界的な医療技術の成長を後押しすることをミッションとしています。
CT、MRIなどの医用画像診断装置は、診断と治療に役立てるために開発され現在もその性能は進化し続けていますが、臨床現場ではまだ充分に活用できていません。このような課題に対し、当社は医療用画像処理ソフトウェアを開発しました。これらを活用して手術アプローチの計画など、仮想空間上で術前シミュレーションやナレッジを行うなど、その活用の幅を最大限に広げ医療技術の成長に貢献しています。

ーープロジェクトが始まった経緯を教えてください。

宇野澤氏 まずは社会的背景について話しますと、現役の若手歯科医師を対象にしたアンケート項目で「どのような場所で知識・技術を得ているのか?」という質問に、約90%が「勤務しているクリニックで得ている」と答えたというデータがあります。これは要するに、勤務先が教育現場になっているということなんです。それはともすると、実際の患者さんへの施術を重ねて技術を磨いているということにも繋がります。加えて若手歯科医師の臨床現場における診断・治療は、上級医師との対面が中心になっているため所属するクリニックの歯科知識・技術に依存しているという課題があります。
このような背景から、地域に依存しない遠隔地からの指導や支援が求められており、テクノロジーを活用してより安全、より安心な医療を提供するために、地域格差を是正し、全体がレベルアップできる方法はないかと模索していました。

そんな折に偶然、Holoeyesの技術を媒体でみつけ、ちょうど「今後、歯科界に参入したい。」といった内容だったので当社からお声がけをさせていただき、色々とお話をさせていただきました。実際、Holoeyesの製品システムを体験させていただき、当社の「DenPre 3D Lab」のデータやモデルと非常に親和性が高いことが分かり、連携によるシナジー効果が期待できるのではないかと確信しました。

谷口氏 その頃、TOKYO 5G PROMOTERというプログラムを通じてソフトバンクと繋がり、5Gの遠隔手術支援の実証実験をしようという話が上がっていたタイミングでしたので、迷わず連携のお声がけをしました。
5Gのユースケースを考えた時に、病院の立地は奥まった所に多く、5G電波が届かない可能性が高い。その点、歯科クリニックは、オフィス街や大通りにも多く5G電波を掴みやすいので、サービスインする際に導入がしやすいのではないかというメリットがありました。そこでまずは歯科で実証してみようということになり、大阪産業局、5G X LAB OSAKAとも連携し、2021年7月、8月に実施しました。

宇野澤氏

宇野澤氏/株式会社Dental Prediction

谷口氏

谷口氏/Holoeyes株式会社

実世界でのデータをもとに「デジタルツイン」を実現

ーー実証実験の内容について、詳しく教えてください。

谷口氏 実証実験では、歯が欠損(虫歯や歯周病により抜歯された状態)した場合に行うインプラント手術を症例として実施しました。同手術は知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置とされており、5Gを用いた遠隔手術支援を行うことで、若手歯科医師に対する知識や技術の伝授が物理的な場所の制約を受けないのかどうかを実証しました。
具体的には、東京にいる指導医と大阪にいる若手歯科医師がVRデバイスを装着した上で、VRデバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、5Gネットワークを利用してVR映像を東京と大阪間で送受信することで遠隔手術支援を行いました。

宇野澤氏 実施の流れについては、遠隔による指導、シミュレーション、実践までを3つのステップに分けて行いました。

まずSTEP1では「指導(遠隔)」を行いました。
東京にいる指導医1人と大阪にいる若手歯科医師11人が仮想空間内でVRデバイスを装着し、同じ3Dの映像を見ながら基本的な解剖やインプラントについて学ぶ授業を行いました。ここでは実際のインプラント患者の過去の症例やそのサンプルを使いました。

遠隔授業

STEP1の様子/遠隔授業−講義−

遠隔授業

STEP1の様子/遠隔授業−VRデバイスを装着したシミュレーション講義−

遠隔授業

STEP1の様子/遠隔授業−3Dモデルを使った実技−

STEP2では「シミュレーション(遠隔)」を行いました。
STEP1で授業を受けた大阪の歯科医師が、東京にいる指導医に、仮想空間内でSTEP3の手術手順や注意点などを教えてもらいながら、手術前シミュレーションを行いました。ここで使われた3Dの映像は、これから手術を予定している患者のデータから作られたものになります。仮想空間内では手を動かしたり、3Dの映像に線を引きながらどこにインプラントを打つかなど、かなり精度の高いシミュレーションができます。
その後リアル空間で3Dモデル模型を元に、実際に実践を行う場(クリニック)で、実際の器具を使ってシミュレーションを行いました。この3Dモデル模型は、患者のデータを元に作られているため、神経位置や歯茎や骨の厚みなど実際の患者様のものとほぼ同じように再現されています。また、切開、剥離、埋入、縫合までできるので、本番同様の手術を同工程で試すことが可能です。

シミュレーション(遠隔)

STEP2の様子/シミュレーション(遠隔)

STEP3では「実践(遠隔手術支援)」を行いました。
大阪なんばの歯科医院に協力いただき、STEP2でシミュレーションを行った歯科医師が、東京の指導医の遠隔支援・指導を受けながら実際の患者様へインプラント埋入手術を行いました。

実践(遠隔手術支援)

STEP3の様子/実践(遠隔手術支援)

ーー実証実験を終えての感想や、今後の課題について教えてください。

宇野澤氏 実際手術を行った歯科医師からは「STEP3の実践は、思ったより手術時間が短く簡単に感じた。」「STEP2が一番難しかった。」といった声があがっていました。事前に同じようなシミュレーションを何度も行うことで、徐々にその精度も上がっていったようです。
また「3D映像での授業、シミュレーションは、圧倒的な分かりやすさがあった。」といった声もありました。国家試験は解剖を2Dで覚えるのが当たり前ですが、覚えたからといってすぐに臨床ができるようになるわけではないので、学生の内から3Dに触れて学ぶことでより理解が深まるといったニーズもあがってきました。

従来の手術はいきなり本番に臨むという選択肢しかありませんでした。既存のマネキン模型で事前にシミュレーションすることはありましたが、実際の患者様のデータから作ったマネキンではないため、切開してみて想定と違ったということも多くあります。

このプロセスを通じて見えてくることは、手術前に患者様情報のインプットと手術シミュレーションが可能になるということです。事前に患者様データがあり、仮想空間内で手術シミュレーションができ、そのシミュレーションの様子を録画・再生するにより復習ができる。加えて3D模型モデルを使って実際の器具を使った練習できる。当然仮想空間内と実世界はギャップがありますので、このギャップを埋めていきながら、本番には万全の状態で手術に臨むことができる。私たちはこのプロセスを「医科界のデジタルツイン」と考えていて、今後はこういったことを医科界のスタンダードにしていきたいと思っています。

谷口氏 一方で、ハードウエアや回線に関する課題も見えてきました。
STEP3で遠隔支援を受ける際に、手元を映すのに外付けカメラを使ったのですが、将来的には術者がVRデバイスをつけて仮想空間内の3Dの映像を見ながら手術するということを実現したいので、ハードウエアの最適化の検証が必要になってくると感じました。加えて、5Gのインフラが現状よりもアップデートされれば、やれることはさらに増えていくのではないかと期待しています。

最終目標は、医科界のバーチャル学会を立ち上げる

ーーこのプロジェクトは、今後どのように成長していくのでしょうか?

谷口氏 この実証実験を皮切りに、歯科界で遠隔手術支援、デジタルツインが可能ということが分かりました。それを踏まえて、歯科医院向けのサービスパックができあがっており、ソフトバンクの5G営業活動の際に、クリニックに紹介・販売するなどの導入フェーズに入っています。その他、スマートシティ案件などでの活用も進めようと動いています。

宇野澤氏 仮想空間を教育に活用するという取り組みは医科界でも前例がないため、まずは体験してもらうきっかけを増やすことに注力しています。そのために「たすきプロジェクト」を立ち上げました。これは、歯科医師から歯科医師へ数珠つなぎ的にVRデバイスを紹介していく取り組みになっています。きっかけさえ与えてあげると、皆さん興味を示してくれます。開始から現在までで既に22都道府県の方に紹介しています。

また、プロジェクトの最終的な目標として「医科界のバーチャル学会の構築」というのがあります。
従来の学会は、ひとつの症例を参加者が見て情報をインプットするだけの一方通行的な仕組みです。これを仮想空間内でやることで、説明を受けた症例のスライドの横にその症例の3D映像が映し、参加者がその症例データをその場で受け取れ、症例についてのディスカッションなども行えます。その症例について、実際に手術シミュレーションしてみたいと思ったら、仮想空間内はもちろんのこと、当社にオーダーしていただければ3Dモデルを郵送することできます。

スキル向上のためには、インプットとアウトプット、それに対するフィードバックが必須ですが、このバーチャル学会だとそれら全てが実現できると考えています。ドクター同士のコミュニティが活発になり、既存の組織に囚われず、それぞれが個人として技術や経験を磨いていく環境が整えられれば、新しい発見や技術が創造される可能性もあります。まさに、医科界のイノベーションに繋がるのではないかと期待しています。

まずは、近く大阪万博が開催されることもあり「大阪・歯科万博」ができないかと、関係機関に声をかけながら具体的な実現に向けて動いているところです。

谷口氏 当社のアプリで、術者の動きを記録して、それをデータ活用してWikipediaのような医科手術のデータベースのようなものが作れないかと考えています。従来は書面で手順を確認していたのを、仮想空間内で確認するというイメージです。歯科医師や学生がそれらを活用して、どんどんスキルアップして業界に貢献していくという絵が作れればと思います。

より安全に、より安心した医療を提供していきたい

ーー最後にメッセージをお願いします。

谷口氏 VRなどの技術は既に暮らしの近くまできていますが、普及にはもう少し時間がかかりそうです。
もし近く歯科クリニックを受診される場合はぜひ「ここはVRや3Dはないんですか。」と尋ねてみてください。現場を変えるにはお客様発信が何より効きますので。(笑)

宇野澤氏 従来困難であった「データ・情報」を扱うことが、5G・IoTの普及により可能になってきました。これにより、医科界が抱える様々な問題を解決、改善し、患者様にとってより安全に、ドクターにとってはより安心した医療の実現が可能になってきたことを意味します。今後もこの2つが欠けることのないよう、常に探究し、患者様・学生・歯科医療従事者のサポートを行っていきたいと考えております。

本プロジェクトへ興味を持っていただいた企業様、団体様のご連絡お待ちしています!

株式会社Dental Prediction

東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル3F 
https://www.denpre.co.jp/

Holoeyes株式会社

東京都港区南青山2-17-3 モーリンビル303
https://holoeyes.jp

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