100PROJECT

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視覚障がい者をはじめ、あらゆる人の生活を豊かにする「ソーラービーコン内蔵点字ブロック」

株式会社サカイ・シルクスクリーン

サカイ・シルクスクリーン

株式会社サカイ・シルクスクリーン

福井県吉田郡永平寺町松岡室26-3 TEL.0776-61-6336
https://www.susnoaa.com

株式会社ACCESS
https://www.access-company.com

セイコーインスツル株式会社
https://www.sii.co.jp/jp/

PLAYWORKS
https://playful-works.com

2022年は、ATCにて本チャレンジを実施しました。
※ソフト産業プラザTEQSのIoT・ロボットビジネス実証実験支援プログラム「AIDOR(アイドル)エクスペリメンテーション」を活用https://teqs.jp/experimentation

プロジェクトの概要

情報の配信や受信をより簡便にする事で、移動支援や防災情報の伝達を実現し、未来の社会インフラを支え、共生社会づくりの実現を目指します。
そのために、まずは「ソーラービーコン内蔵点字ブロック」を開発。実証実験を重ねながら、社会実装に向けて取り組んでいきます。

デジタル技術を使って、障がい者の暮らしを豊かに。

今回は、株式会社サカイ・シルクスクリーンの代表取締役社長である谷口氏と、営業部長の森氏、株式会社ACCESSの佐京氏にお話を伺いました。

ーー御社の事業について、教えてください。

谷口氏 当社は福井県に拠点を持ち、高品質サインメーカーとして、企画から開発までトータルでサイン計画をサポートしている会社です。
中でも「焼成印刷」という技術で、数多くの触知(点字)製品を開発しており、主に駅構内や屋外の観光サインで使われるなど、全国規模で普及しています。

こうした背景から、視覚障がい者の方との密なネットワークも持っており、生の声を聞いて製品開発を行なっています。

ーープロジェクトが生まれた経緯は?

谷口氏 視覚障がい者の方の日々の悩みごととして、点字ブロックから得られる情報が少ないという課題がありました。既存の点字ブロックは、誘導ブロック(線状ブロック)という移動の方向を示すものと、 警告ブロック(点状ブロック)という注意を喚起する場所を示すものの2種類しかありません。

これでは、例えばバス停に行こうと道を歩いていて目的地についても、バス停がどこにあるのかを知るためのサインはないため、どこで待っていればいいのか、彼らにはわかりません。
実際、道の途中で困っている視覚障がい者の方に遭遇したこともあります。
私たち健常者からしたら、すぐそこに見えているものが、当たり前ですが彼らには見えない。何メートルも歩いて、辿り着いた場所が違ったら、また戻らなくてはいけない。そういう生活を送っているのです。

また、当社拠点の中心でもある福井県の大学教授から、今後、障がい者向けの製品にはデジタル要素が欠かせなくなるという話を聞いていたので、こうした背景からデジタル技術を使って、視覚障がい者の方の生活をアップデートすることはできないかと考えていました。

そうした折に、同じ目的意識を持った、ACCESS社との出会いをきっかけに、セイコーインスツル社、PLAYWORKS社にも参画いただき、2017年プロジェクトが始動しました。

谷口氏森氏

株式会社サカイ・シルクスクリーン 代表取締役社長 谷口氏(左)、営業部長 森氏(右)

障がい者の生活様式に沿った、オンリーワンの製品開発。

ーー開発試作製品について

谷口氏 視覚障がい者の中でも、若い人は日々のコミュニケーションをLINEで行っています。スマホには音声読み上げ機能がついていますのでそれを利用して、LINEに届いたメッセージを音声化して、やりとりをするのです。
こうした視覚障がい者の方の生活様式を理解し、それに沿った形で製品設計を行いました。

具体的には、Bluetooth信号を発信することで位置情報の把握などに使われるデバイス(ビーコン)を点字ブロックに埋め込み、その電波をLINEと連携させ、視覚障がい者の方にメッセージ情報を届けるという仕組みになっています。そして音声読み上げ機能で、その情報を正しくキャッチします。

このデバイスは、使用者の所在管理や高齢者や子供の見守りなど様々なシーンで利用されている技術です。今回のプロジェクトでセイコーインスツル社は、世界最小の携帯用ソーラーパワー型ビーコンを開発しました。
https://www.sii.co.jp/jp/news/2020/01/30/14188/

佐京氏 ACCESS社は、LINEとビーコンの連携という点で参画しました。
当社はモノとインターネットを繋げるソリューション開発に強みがあります。また、セイコーインスツル社、PLAYWORKS社のプロジェクトへの参画の呼びかけも行いました。

PLAYWORKS社の参画については、視覚障がい者の方向けのワークショップなどの実績が多数あることから、彼らの視点に立ったより良い製品アプローチができるのではないかと考えたからです。

谷口氏 この4社が出会えたことは、とても大きいことです。
それぞれの強みを持って集結できたからこそ、より良い製品開発に取り組めますし、まだ試作段階ではありますが、まさにオンリーワンの製品が生まれました。
しかもこのような製品は、世界初だと思います。

ーー実証実験の概要について教えてください。

森氏 ソフト産業プラザTEQSの「AIDOR(アイドル)エクスペリメンテーション」を活用して、2022年9月からATCにて実証実験をスタートしました。

現在、施設内の各所に製品を設置し、そこを視覚障がい者の方に歩いてもらい、生の声をヒアリングしています。
点字ブロックにデバイス(ビーコン)を内蔵し、情報をスマホに送信する事には成功しました。ただ、設置場所や環境による電波の受信感度やスマホのIOSバージョンごとに電波受信精度にバラツキがでています。今後は、実証実験を重ねながらこれらの課題を解決していきたいと考えています。

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ーーこのプロジェクトは、今後どのように成長していくのでしょうか?

谷口氏 まずは、駅構内や屋内施設に導入していきたいです。
これらの場所には法律によって点字ブロックの設置が義務付けられているので、導入しやすいと思います。特に駅構内はインフラなので、突破口さえ開ければ、普及スピードは上がるのではないでしょうか。

また、障がい持っている方だけが弱者ではありません。例えば、地方から都心に来た方で道を歩くのさえ一苦労する方もいらっしゃいます。いわゆる情報弱者ですね。
また、日本語が読めないような外国人観光客も同様です。
2025年には大阪・関西万博で多くのインバウンド観光客の来日が予想されます。これを契機に日本のインフラにこの製品を導入していきたいです。
加えて、当社の点字ブロックは世界70カ国で活用されていますので、日本の次は世界各国にも展開していけると思います。

さらに、防災や防犯の観点からの製品改良を重ねていきたいと思います。
位置情報や周辺情報だけでなく、災害にあった際の避難場所や、連れ去り事件に巻き込まれたときに被害者が最後に通過した点字ブロックの場所がわかるなど、さまざまな活用方法が期待できます。

ーーさいごに

谷口氏 私たちが目指しているのは、誰もが暮らしやすい「共生社会」の実現です。
そのためには、情報の配信や受信をより簡便にする事で、移動支援や防災情報の伝達を実現し、未来の社会インフラを支えることが何より重要だと考えています。

「ソーラービーコン内蔵点字ブロック」には、4社や製品に意見をくださった障がい者の方の想いが込められています。まだ実証段階ではありますが、必ず製品化・導入化をし、社会実装に向けて取り組んでいきたいと思います。

本日はありがとうございました。

株式会社サカイ・シルクスクリーン

福井県吉田郡永平寺町松岡室26-3 TEL.0776-61-6336
https://www.susnoaa.com

株式会社ACCESS
https://www.access-company.com

セイコーインスツル株式会社
https://www.sii.co.jp/jp/

PLAYWORKS
https://playful-works.com

2022年は、ATCにて本チャレンジを実施しました。
※ソフト産業プラザTEQSのIoT・ロボットビジネス実証実験支援プログラム「AIDOR(アイドル)エクスペリメンテーション」を活用https://teqs.jp/experimentation

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