業務用調理機器のIoT化で社会貢献を目指す
株式会社エフ・エム・アイ
株式会社エフ・エム・アイ 大阪支店
大阪市鶴見区放出東3-11-31
https://www.fmi.co.jp/
プロジェクトの概要
2024年4月より、株式会社エフ・エム・アイの「調理器具に設置するIoTセンサーの検証」実験が、ATC内の飲食店舗にて実施されています。今回は実施者である株式会社エフ・エム・アイの峯山忠之氏、上田一輝氏、氏家収士郎氏、細川賢治氏の4名に、本プロジェクトの概要や目的について詳しくお聞きしました。
業務用調理機器の販売・開発を手掛ける
ーーまず、株式会社エフ・エム・アイの事業内容を教えてください。
株式会社エフ・エム・アイは、主に海外の先進的な業務用調理機器を輸入・販売する事業を展開している会社です。特にイタリアを初めとした欧米メーカー製品を中心に、日本国内にはない調理機器を取り扱っています。それに加えて自社商品の開発にも取り組んでおり、業務用ドリップコーヒーマシンやジェラートマシンを主力商品として開発・販売しています。これらの商品はカフェチェーンや鉄道車両内などで利用されている実績もあります。
また、機器の販売のみならずメンテナンスも自社で行い、販売からアフターサービスまで一貫したサポート体制を提供しているのも当社の特徴です。さらに近年はコンサルティング業務にも力を入れており、コーヒー店やジェラート店の開業支援セミナーを大阪・東京で開催し、顧客の事業支援も行っています。
ーー本プロジェクトが始まった「きっかけ」について教えてください。
IoT技術が登場した頃から、開発部内では「IoT分野は面白そうだ」と話題になっていました。しかし、十分なリソースが確保できず、基礎実験にとどまっていた経緯があります。そんな中、当社では代理店などを通じて販売された機械が、実際にどこの場所(店舗)に設置され、どのように利用されているのか、正確にはわからないということは、常々言われてきた課題でした。トラブルや不具合が発生してメンテナンスに伺うことで、初めて設置状況を確認することも多かったため、事前に機器の設置場所や利用データを把握できれば便利だと考え、IoT技術を活用することにしました。2023年春に社長から正式にシステム開発の指示があり、本プロジェクトが本格的に始動したという流れです。
後付のIoTセンサーで機器の利用状況をチェック
ーー本プロジェクトの実験概要について教えてください。
2024年4月から、ATC内のカフェ&ダイニング『goo-note(グーノート) 』様のご協力のもと、厨房内に設置されているスチームコンベクションオーブンに当社が開発したIoTセンサーを取り付けています。このセンサーで調理機器の温度、電流、電源、電圧を20秒ごとに測定し、そのデータをクラウドに送信する仕組みです。元々、スチームコンベクションオーブンには通信機能はありませんが、当社のセンサーを後付けすることで、情報通信やデータの確認が可能になっています。
ーーデータ取得できることで、どんなメリットが生まれるのですか?
メリットは、当社とお客様の双方にあります。
当社としては、修理・メンテナンスを行うサービスマン不足の解消が期待されています。現状では、お客様からの問合せを受けて現場に行き、機器の状態を調査してから修理に取りかかることが多いですが、事前にデータで状況を把握できれば、準備がスムーズになり、一度の訪問で対応を完了できる場合もあります。これにより、サービスマンの負担が軽減されるでしょう。
また、お客様にとっても、調理機器の稼働停止時間が短縮され、業務が滞るのを防ぐことが期待されます。
ーー実証実験で感じた課題はありますか?
当初は思い通りにデータ取得できていると感じていました。ただ、細かくチェックすると、所々データが途切れている部分があることに気づきました。原因を調査すると、データ送信する通信方式に問題があることが判明。当初はWi-Fiを使用していたのですが、周辺機器と電波干渉を起こしていたようです。その通信方式を、ノイズに強いサブギガ帯に変更する改良を実証実験期間中に実施しました。このようなことは、社内での実験では生じなかった事象なので、やはり実際の使用環境を想定した実証実験だから見つけられた課題で、価値があったと思っています。
さまざまなコスト削減で社会貢献を目指す
ーー本プロジェクトの将来的なゴールは、どのようなところですか?
現状で思い描く完成形としては、サービスマンが現場に行かずともトラブルが解消されるサービスです。オンラインで利用データを確認し、不具合の原因や対処方法が判断でき、遠隔操作もしくはお客様の簡単な操作でトラブル対応できるようになれれば良いと思っています。
さらに、調理機器の利用データを収集することで、さまざまなことにも応用可能です。利用データのパターンを解析すれば、機器の異常を事前に検知することもできるでしょうし、壊れにくい正しい使い方のアドバイスもできると考えています。またオーブンや大型冷蔵庫などの調理器具は待機電力を多く消費するので、お店での利用傾向に合わせて、どのように使用すれば省エネにつながるかなども、ご案内できるかもしれません。
まだ、データの利用用途については検討段階ではありますが、電力コストや食材ロスなどの分野において、社会貢献できるサービスにしていきたいと思います。
ーーATCで実証実験を行うことになったきっかけは?
フィールドテストを初めて実施させてもらったのが、今回の実証実験でした。そもそものきっかけは、実証実験できる場所をネット検索していた時に、今回の支援プログラムの存在を知ったことです。すぐに事務局に連絡させていただいたところ、申請手続きや設置作業などもスムーズに進行するようにサポートいただき、本当に助かりました。さらに、有り難いことにご協力いただいた『goo-note(グーノート) 』様が、偶然にも当社の製品をお使いいただいていたので、その面でもとても良い御縁だと思います(笑)。また、現在はATC以外にも全国10ヶ所で実証実験を実施中なのですが、それについてもATCでの初事例があったことで、他の場所でもスムーズに理解してもらったように感じています。
ーー今後の予定について教えてください。
私たち開発部のイメージでは、まず2024年はこのような実証実験を重ねてデータの有効性などを実感してもらい、社内での認知度を高めていきたいと思っています。営業担当者やサービスマンなどが「これは使いたい!」というところまでシステムを仕上げることが、2024年度の目標です。そして2025年には、実際のお客様にも展開し、利用していただけるような流れになればと考えています。普及や販売などにおいて、ご興味を持って、ご協力いただける企業様が現れれば、一緒に取り組んでいきたいですね。
株式会社エフ・エム・アイ 大阪支店
大阪市鶴見区放出東3-11-31
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