電動キックボードで、ユーザーと地域を繋ぐ!マイクロモビリティシェアサービス「Beam」
BEAM MOBILITY JAPAN 株式会社
BEAM MOBILITY JAPAN 株式会社
プロジェクト概要
マイクロモビリティのシェアリングサービス「Beam(ビーム)」。法改正を契機に、目的地へのラストワンマイルのための移動手段や観光、地域の活性化など目指し、実証実験を行っています。
電動キックボードという新しい移動手段を提供することで、人々がより豊かに暮らしていける社会を目指しています。
法改正を契機に、日本を電動キックボード利用社会に。
今回は、BEAM MOBILITY JAPANのジャパンビジネスディベロップメント マネージャーである元吉氏にお話を伺いました。
ーープロジェクトが生まれた経緯について教えてください。
元吉氏 当社は、電動キックボード「Beam(ビーム)」などのマイクロモビリティ事業を展開している、アジア太平洋地域最大のレンタル事業者です。ニュージーランドやオーストラリア、韓国、タイ、マレーシア、トルコ、インドネシアの8か国でサービスを展開しています。
2023年7月からの法改正(※)を契機とし、2021年にBEAM MOBILITY JAPAN 株式会社を立ち上げ、2022年に日本でのプロジェクトを本稼働させました。7月以降、日本社会にスピーディにフレキシブルにサービスが浸透していくよう、各地で実証実験を繰り返しながら、データ収集を行っています。
※現在電動キックボードは原付バイク扱いですが、2023年7月1日以降は、ルールが緩和された新区分ができます。新区分では、16歳以上であれば免許不要 (ヘルメットは努力義務)で電動キックボードを運転できるようになります。
ーーBeam(ビーム)とは、どのようなサービスなのでしょうか。
元吉氏 マイクロモビリティのシェアリングサービスです。
各拠点に設置された電動キックボードを、アプリをダウンロードし利用登録をして使えるシステムです。ビジネスモデルは、カーシェアリングサービスと同じように、利用者が必要なときに自由に使うことができるものです。
主に目的地から目的地へのラストワンマイルの移動手段として、利用者にとって便利なサービスとなっています。
利用料金は、ロック解除に50円、その後1分あたり15円が加算されていきます。保険は利用料金に含まれているため、利用者が保険に加入する必要はありません。保険内容もかなり手厚くカバーされているので、安心してお使いいただけます。
都市型・観光型ニーズ把握のため、実証実験を実施。
ーーどのような場所で実証実験を行っているのでしょうか。
元吉氏 国内では大阪市、新潟県南魚沼市で実証実験を行いました。
大阪市では都市型、南魚沼市では観光型のニーズ収集を目的としました。
大阪市では、ここATCの1階から森ノ宮医療大学までをつなぐ実証も行いました。最初は1ヶ月半ほど関係者に使っていただきながら細かな調整をし、その後、一般の方に利用していただきました。有難いことに、サービスに対するマイナスなフィードバックはなく、皆さん好意的に使ってくれています。同時に、街にも違和感なく溶け込んでいると思います。
また、2022年12月20日に沖縄県那覇市にて、シェアサービスを開始いたしました。現在那覇市内の約60拠点に駐車スペースを設置していて、今後も拡大していく予定です。
インバウンド・地域活性化が、サービス浸透の鍵になる。
ーーシェアサービス開始にあたり、那覇市を選んだ理由は?
元吉氏 那覇市を選んだ理由は、2つあります。
ひとつは、アジア圏からのインバウンド客の取り込みです。
沖縄を観光する外国人旅行者の大半は、アジア近隣諸国から訪れています。 BeamはAPACに多くのユーザーを抱えているので、各国から訪れるBeamユーザーに、自国と同じような手軽さで沖縄でのライドをお楽しみいただけるのではないかと考えています。
Beamアプリは多言語に対応していることも大きいです。アプリは韓国語、英語、北京語を含む8カ国語に対応していて、沖縄を訪れる外国人旅行客が使用する言語の8割以上をカバーしています。幅広い言語に対応することで、多くの外国人旅行客がBeamを利用する動機付けになると思います。
そしてもう1つは、Beamを使った地元企業の活性化です。
実は多くの研究で、電動キックボードを利用した観光客は、他の観光客よりも多くの地元の観光名所を見て、より多くのお金を使うことが分かっています。この特性を利用して、地元企業と提携し、Beamのアプリ上に広告を掲示したり、レストラン等の敷地に「バーチャルパーキング」という駐車スペースを設けることで、Beamの利用者を店舗に誘導する仕組みを検討しています。
レストランや小売店は、店の近くで移動を終えたユーザーに対して、アプリ上で販促メッセージを表示させることができます。この機能により、毎日数千人のユーザーが、那覇市内のさまざまな地元企業の情報やキャンペーンを受信できるようになる予定です。
(地域活性化プログラム「Beamブースター」)
このように電動キックボードの導入は渋滞を解決するだけではなく、地域や観光という側面を掛け合わせることで、さまざまな化学反応が起きると期待しています。
バックエンドシステムによる、圧倒的な安全性。
ーー他社製品と比較したときの、優位性などを教えてください。
元吉氏 色々とありますが、一番は「圧倒的な安全性」です。
機体そのものの安全性ももちろんありますが、Beamの安全性の根幹はそのバックエンドシステムにあります。
Beamの機体はすべてIoTで管理されていますので、特定のエリアの機体に対してボタンひとつで速度制限などをリアルタイムでかけることができます。例えば、特定のエリアは週末だけ歩行者天国になるから、その時間だけそのエリアに入った電動キックボードはある一定の速度制限をかけることが可能です。
このように、歩行者を保護し、市区町村によるゾーニングと駐車のための都市空間の管理を強化することで、より安全な使用を促進します。
「新しい選択肢」で、毎日の移動をより楽しく、より豊かに。
ーー電動キックボードが普及すると、日本社会はどのように変わるのでしょうか。
元吉氏 電動キックボードの話をすると、「自転車はなくなってしまうのか。」「バイクや自転車の代わりになるのか。」という議論がよく持ち上がるのですが、私たちはそうは考えていません。
あくまで移動手段の選択肢がひとつ増えるという捉え方をしています。選択肢が増えるということは、楽しみがひとつ増えることだと思います。昨日は自転車、今日は電動キックボード、明日は徒歩・・・など、気分によって移動手段を選べるなんて、とてもハッピーなことだと思います。
加えて、自分の移動で地域がより活性化される。これもこの上ない素晴らしい体験です。
ーー最後にメッセージをお願いします。
元吉氏 日本では、身近な乗り物である自転車が急速に普及して以来、今まで変化がなかった市場に、電動キックボードという新しい風が吹いています。
最初は異物感を感じる方もいるかもしれませんが、ぜひ一度体験してください。新しい選択肢を肌で感じていただければ、きっと私たちが実現したい社会が見えてくるのではないかと思います。
もし、地域にBeamを導入したい自治体や連携したい企業などありましたら、お気軽にお問い合わせください。
本日はありがとうございました。